市街地との相性は抜群 ホンダe アドバンス 現実的な価格帯での喜び 手頃で楽しいEVのベストは?(1)

公開 : 2023.09.25 19:05

バッテリーEVも運転を楽しめる 現在の有能な6台へ英国編集部が比較試乗 現実的な価格帯のコンパクトEV、2023年ベストを選出

現実的な価格帯での喜びを比較

数年後、2023年は電動ホットハッチが芽生えた瞬間だったと、振り返ることになるのだろうか。アルピーヌA290ヒョンデアイオニック5 Nなどが発表されたことを考えると、その可能性はゼロではない。

自動車メーカーは、手頃な価格帯のバッテリーEVにも優れた性能を与え始めている。そろそろ、次のフェイズへ進もうとしている。

手前からダークブルーのクプラ・ボーン 58KWH V2と、イエローのアバルト500e ツーリスモ、グリーンのMGモーター MG4 Xパワー、グレーのルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ、ダークグレーのキア・ニロEV 4、ホワイトのホンダe アドバンス
手前からダークブルーのクプラボーン 58KWH V2と、イエローのアバルト500e ツーリスモ、グリーンのMGモーター MG4 Xパワー、グレーのルノーメガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ、ダークグレーのキア・ニロEV 4、ホワイトのホンダe アドバンス

AUTOCARでは今年、アバルト500eやMGモーター MG 4 Xパワーなどへ試乗。好ましい印象を残してくれた。電動ドライバーズカーと呼べそうな選択肢が、徐々に増えつつあるといえる。それでは、現在のベストはどれだろう。

2022年には、英国のディーラーで購入できるバッテリーEVのベストを選ぶべく、価格帯やセグメントを超えた11台の比較を試みた。年末恒例の、ベスト・ドライバーズカー選手権の電動版として。

2023年は、もう少し範囲を狭めた。現実的な価格帯にある、ゼロ・エミッション・ドライブの喜びを比較することにした。

お手頃な電動ドライバーズカーのベストは?

今回ノミネートしたのは、AUTOCARで評価の高い6台。発売されたばかりのモデルもあるが、登場から数年が経過したモデルも含まれる。

順不同にご紹介すると、アバルト500e、ホンダe、ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリックに加えて、日本では馴染みが薄いMGモーター MG 4 Xパワーにクプラ・ボーン、キア・ニロEVという構成だ。

手頃で楽しいEVのベストを選出する、今回の比較市場の様子
手頃で楽しいEVのベストを選出する、今回の比較市場の様子

試乗の舞台には、グレートブリテン島の中東部、ノース・ヨークムーアズ国立公園の道を選んだ。辛口な6名のスタッフで、動力性能、操縦性、日常的な使い勝手、クルマとしての魅力、全体的な楽しさという5項目を評価。300点満点で採点させていただいた。

お手頃価格な電動ドライバーズカーの、2023年のベストはどれだろう。4編に及ぶ内容となったが、最後までお付き合いいただければ幸いだ。

実際の点数以上に好き ホンダe(183点)

5位と5点差で6位になったのが、ホンダe。審査員6名の誰もが、このクルマに対しては好印象を抱いていただけに、少々悔やまれる結果といえる。

「実際の点数以上に気に入っています」。と、審査員の1人、マット・ソーンダースが説明する。シリアスな走りを好むリチャード・レーンも「大好き」。と本音を漏らす。イリヤ・バプラートも同様だ。

ホンダe アドバンス(英国仕様)
ホンダe アドバンス(英国仕様)

今回のノミネート車両で、1番得点が少なかったモデルに対する言葉とは思えない。実際、ホンダeは素晴らしい。

だがAUTOCARの読者なら、見逃せない課題へお気づきだと思う。バッテリーEVの普及が進む英国でも、市街地でeを目にすることは殆どない。

「この航続距離では、一緒に暮らせません」。と、ソーンダースが口にする。バプラートも「航続距離がもっと長ければね・・」。と残念そうだ。筆者、マット・プライヤーも、「正直なところオススメは難しいですね」。と同調した。

eのカタログ上の航続距離は、最長210kmがうたわれている。だが実際は、他のバッテリーEVと同様に、主張どおりの距離を走ることはできない。

普段使いで困ることはないかもしれないが、高速な充電器が自宅にない限り、使い勝手には制限が出るだろう。外出先にも急速充電器が整備され、使える状態にあることを確かめられなければ、100km先の目的地を目指すにも勇気がいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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