適度な興奮 キア・ニロEV 長距離走が得意 ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック 手頃で楽しいEVのベストは?(2)

公開 : 2023.09.26 19:05

長距離走が得意 ルノーメガーヌ E-テック・エレクトリック(194点)

ホイールのデザインが格好イイ。オーバーハングが清々しいほど短い。新しいルノーのスタイリングが、残りの5台を少し古く見せてしまう。

車重は、同サイズのバッテリーEVと比べると軽い。前輪を受け持つ駆動用モーターの最高出力は、217psある。ノミネートして当然といえる、スポーティなパッケージングといえる。

ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ(英国仕様)
ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ(英国仕様)

しかし、カリカリの走りを披露するわけではない。フランス車らしくサスペンションはしなやか。メカニズムは洗練され、長距離クルージングが得意なハッチバックだ。

英国の舗装が古い路面へ見事に順応し、パワートレインのノイズだけでなく、風切り音やロードノイズも小さい。走行速度を問わず、穏やかに会話を楽しんだり、音楽を鑑賞できる。

航続距離は、450kmが主張される。ただし、エネルギー効率に優れるヒートポンプ式のエアコンを指定した場合に限られる。今回の試乗では、英国郊外の一般的な速度域で流して、370kmは走れることを確認できた。

シャープなスタイリングにつられて意欲的に運転すると、航続距離はみるみる縮まる。暖かな気象条件でも、300km程度まで落ち込む可能性がある。バッテリーの制御技術が一枚上手なキアなら、条件を問わず距離はもう少し安定しているのだが。

活発なハッチバック アルピーヌ版に期待

とはいえ、メガーヌ E-テック・エレクトリックには、オススメしたいポイントが沢山ある。ステアリングレシオは可変式で、ロックトゥロックは2.2回転。切り始めの反応が少しシャープ過ぎる印象ながら、とても軽快に旋回してみせる。

全長4210mmという小柄なボディの四隅にタイヤがレイアウトされ、身のこなしも優れている。座り心地の良いシートは、鋭いコーナリング時にしっかりドライバーの身体を支えてくれる。

ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ(英国仕様)
ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ(英国仕様)

フロントの駆動用モーターは、不足ないパワーを生み出す。ホットハッチとは呼べないとしても、活発なハッチバックだとは表現できる。

不意にフルスロットルを与えると、滑りやすい路面ではトラクションコントロールのお世話になることも。バッテリーEVでも、後輪駆動の方がパワーを適切に路面へ伝えられることに変わりはない。

メガーヌ E-テック・エレクトリックが基礎骨格にするCMF-EVプラットフォームは、ツインモーターにも対応している。ルノー傘下のアルピーヌが、それを叶えるという。電動のメガーヌが、本当のスポーティさを獲得する日が待ち遠しい。

ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万9545 ポンド(約714万円)
全長:4210mm
全幅:1780mm
全高:1500mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:7.5秒
航続距離:450km
電費:6.1km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1708kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:60.0kWh
急速充電能力:130kW
最高出力:217ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション(前輪駆動)

この続きは、手頃で楽しいEVのベストは?(3)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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