エレガントなミディアム・クーペ メルセデス・ベンツCLE 300へ試乗 快適でスポーティ

公開 : 2023.09.23 19:05

Cクラス・クーペとEクラス・クーペを統合した新型CLE インテリアはC譲り 動的特性はEへ近い 英国編集部が一般道で評価

CクラスEクラスの2ドアモデルを統合

メルセデス・ベンツは、魅力的な高級クーペを数多く提供してきた。1980年代の美しいミディアムクラス、C123型も魅力的だったし、直線的な1990年代のC124も好ましい1台だった。2000年代初頭には、スーパーチャージャーのCLKが人気を博した。

しかし、最近のメルセデス・ベンツにはあまり余裕がない。内燃エンジン・モデルのラインナップを絞り、バッテリーEVの開発へ資金を回すことへ迫られている。

メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)

その結果、Sクラスのクーペは姿を消した。さらに、CクラスとEクラスの2ドアモデルも、次世代では統合されることになった。新しいCLEが、その後を担うことになる。

基礎骨格とするのは、新しいCクラスやEクラスと同じプラットフォーム。ユーザーからの声を受けて、Cクラス・クーペより車内空間を広げ、Eクラス・クーペよりスポーティで魅力的なドライビング体験を与えたと、メルセデス・ベンツは主張する。

生産工場はドイツ・ブレーメンで、コンバーチブルのSLも量産されている場所。英国では、2023年の末からクーペの販売がスタートし、2024年にはソフトトップのカブリオレも投入される予定にある。

搭載されるエンジンは、当初はマイルド・ハイブリッド化された直列4気筒と6気筒のガソリンターボ。それぞれCLE 300とCLE 450を名乗り、四輪駆動が標準となる。今回試乗したのは、そのCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアムだ。

Cクラス・クーペとは異なるエレガントさ

お手頃な後輪駆動版、CLE 200とディーゼルのCLE 220dも提供されるが、英国には入ってこない。プラグイン・ハイブリッドのCLE 300eも、2024年中には発売されるというが、こちらはクーペのみとなる。

もちろん、メルセデスAMG仕様も登場する。詳細はまだ不明だが。

メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)

かくして、CクラスとEクラスが融合したCLEは、大きくなった前者なのか、小さくなった後者なのか。印象を確かめてみよう。

ボディサイズ的には、先代のEクラス・クーペより僅かに長い。全長は4850mm、全幅が1860mm、全高が1428mmあり、伸びやかなプロポーションで、Cクラス・クーペとは異なるエレガントさを漂わせる。

他方、インテリアはCクラス譲りであることがわかる。二重のリング状になったエアコンの送風口や、グロスブラックのトリムパネルなどは、既に見覚えのあるものといえる。

内装の質感は、部分的にはEクラスへ期待する水準に届いていない。クロームメッキやカーボンファイバーの装飾が随所に散りばめられ、華やかには仕立てられている。それでも、心が奪われるような高級感までは感じられないだろう。

最新モデルとして、デジタル技術は満載。ダッシュボード中央には縦に長いタッチモニターが据えられ、第3世代となるMBUXインフォテインメント・システムが実装される。

処理速度が高速化され、トップメニューはアイコンが大きくシンプルになり、操作性が向上。ティックトックやズームなど、アンドロイド・ベースのアプリとの互換性もある。ちなみに、ビデオ系のアプリはCLEが停車中の時しか動作しない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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