エレガントなミディアム・クーペ メルセデス・ベンツCLE 300へ試乗 快適でスポーティ

公開 : 2023.09.23 19:05

競合より広い車内 ラグジュアリーでジェントル

先代のEクラス・クーペのオーナーが、車内の広さで不満を抱くことはないはず。特にフロントシート側は、身長の高い大人でもゆとりを感じる。

また、小柄な大人までなら、リアシートで長時間過ごしても不満は出ないだろう。これまでのCクラス・クーペより、明らかに広い。BMW 4シリーズ・クーペやアウディA5 クーペ以上だと思う。

メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)

CLE 300のフロントに載るのは、印象の薄いサウンドを放つ、2.0L直列4気筒ターボ。直列6気筒のCLE 450以上の支持を、英国では集めると予想されている。

ややザラついたノイズが、アイドリング時や3500rpmを超えた辺りから車内へ届く。エンジンと車内との隔離性はそこまで高くなく、豊かなパワーが生むゆとりなどを求めるなら、CLE 450をお考えになった方が良いかもしれない。

とはいえ、耳障りだったり不快に感じるほどではない。最大23psと20.8kg-mをアシストするスターター・ジェネレーター(ISG)のおかげで、回転数を高めずとも日常的な走行はまかなえる。

特に発進・停止を繰り返すような都市部では、至って扱いやすい。穏やかな加速時には9速ATをキックダウンさせず、効率を求めた制御にあることがわかる。

アクセルペダルを踏み込み、4000rpm以上まで引っ張っても、鋭いと感じる加速までは得られない。それでも、過去のメルセデス・ベンツのように、ラグジュアリーでジェントルなクーペというイメージを好むドライバーが、満足できる速さは発揮する。

成熟市場へ合致した快適で実用的な選択肢

試乗車はAMGライン・プレミアムというグレードで、20インチ・アルミホイールにアダプティブ・スポーツサスペンションが組まれていたが、乗り心地は落ち着いており期待どおり。英国の場合、エアサスペンションは設定されないという。

標準では、周波数感応式ダンパーが組まれる。四輪操舵システムは、オプションで指定できる。

メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)

ドライブモードには、エコ、コンフォート、スポーツの他に、個別設定できるインディビジュアルも実装。パワートレインやサスペンション、スタビリティ・コントロール、ステアリングなどの特性が変化する。

コンフォート・モードでは不整をしなやかにいなし、流れるような乗り心地を披露。タイヤのサイドウォールが薄いため、鋭い入力の衝撃までは吸収できていなかった。

スポーツ・モードへ切り替えると、ステアリングホイールの重み付けが増し、姿勢制御が引き締まる。先を急ぐのに充分な精度とダイレクトさが伴い、従来のEクラス・クーペより高速走行時の安定性も高いようだ。

気持ちを刺激するような、コーナリング時のバランスや意欲的な操縦性までは味わえない。とはいえ、快適性はそのままに、ターゲット層が求めるようなスポーティさは宿している。

新しいCLEの全体的な動的特性は、Eクラスのそれへ近い。快適で実用的なミディアムサイズのクーペとして、成熟した市場へ合致した選択肢に仕上がっていると思う。繁華街の目抜き通りや高級住宅地を、ゆったり流すようなシーンが似合うクルマだ。

メルセデス・ベンツCLE 300 4マティック・クーペ AMGライン・プレミアム(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万5000ポンド(約995万円/予想)
全長:4850mm
全幅:1860mm
全高:1428mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:13.2-14.3km/L
CO2排出量:18g/km
車両重量:1855kg
パワートレイン:直列4気筒1999ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/5800rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000-3200rpm
ギアボックス:9速オートマティック/四輪駆動

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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