なぜ今アコードを売るの? セダン低迷時代に新型 ホンダの勝算はどこに

公開 : 2023.09.21 11:00  更新 : 2023.09.21 13:00

新型「ホンダ・アコード」が日本発表に。なぜこの時代に、セダンの新型を投入するのか、実車をチェックしながら検証しましょう。

いまや国内ホンダのフラッグシップ!?

執筆:Hajime Aida(会田肇)

昨年、米国で先行発表されていた新型アコードが、2024年春より日本でも販売されることが明らかになった。

アコードは1976年に初代が登場して以来、このモデルで11代目。

レジェンド/NSXの販売が終わった今、アコードは国内ラインナップのフラッグシップ。セダンが不人気のなか、なぜフルモデルチェンジした新型(写真)を投入するのか探ってみた。
レジェンド/NSXの販売が終わった今、アコードは国内ラインナップのフラッグシップ。セダンが不人気のなか、なぜフルモデルチェンジした新型(写真)を投入するのか探ってみた。    神村聖

初代から一貫して持ち続けてきた「人と時代に調和したクルマ」の思想を踏襲しつつ、新型は2L直噴アトキンソンサイクルエンジンと高出力モーターを組み合わせた新開発2モーター式ハイブリッドシステムを採用する。

その上でDセグメントにふさわしい高品質なインテリアと、最新のコネクティビティ/安全技術を装備した“新世代のミドルサイズセダン”としたのだ。

中でも注目すべきは、国内のホンダ車初となる車載向けコネクテッドサービス「Googleビルトイン」を搭載したことにある。

これによりユーザーは、GoogleアシスタントやGoogleマップ、Google Playなどが車内で使え、最新のアプリやサービスなどが1つのGoogleアカウントの下でシームレスに利用できるようになるのだ。

他にも、開発を進めてきた最先端の安全技術「ホンダセンシング360」を初採用したり、1つのダイヤルで様々な機能にアクセスできる先進化したインターフェースの搭載など、日本で販売されるホンダ車ラインナップのフラッグシップとしてふさわしい最新のスペックとした点も見逃せない。

新型導入 「負け戦」と言えないワケ

こうした機能を新型アコードに導入した背景には、ターゲットとするユーザー層の若返りを図る狙いがあったという。

ホンダによれば、2020年に発売した先代アコードは、デザインや走行性能が評価されて主に60代のホンダユーザーに支持されたが、その一方で40~50代のユーザー比率は縮小してしまったそうだ。

新型ホンダ・アコードe:HEV(新色イグナイトレッド・メタリック)。日本仕様のスペックは未発表。全長は先代よりも一回り長くしているようだが、キャビンをやや後ろ寄りとすることで、長くすっきりとしたボディラインを生み出した。
新型ホンダ・アコードe:HEV(新色イグナイトレッド・メタリック)。日本仕様のスペックは未発表。全長は先代よりも一回り長くしているようだが、キャビンをやや後ろ寄りとすることで、長くすっきりとしたボディラインを生み出した。    神村聖

そこにはコネクト機能、安全機能、ナビのディスプレイサイズといった面で物足りなさを感じる人が多かったという。

今や市場で人気が高いのは、軽自動車をはじめとするコンパクトカー、それにSUV、ミニバンといった“セダンとはほど遠い”カテゴリーが中心だ。

そこにあえてホンダがアコードを投入するのは、正統派セダンを必要とする一定の需要がユーザー側にあると見込んでいるからだろう。

とくに40代前後で所得が高い層は、機能・装備を吟味した上で市場でベストと思ったものを買う傾向が強い。

そうしたユーザーにも受け入れてもらえるよう、新型アコードではセダンとしてのデザイン・走りを進化させると共に、これからの時代に調和する“先進移動体験を提供できる新たなセダン”へと発展させたわけである。

では、そんな新型アコードの魅力はどんなところにあるのだろうか。

記事に関わった人々

  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事