新世代も類まれな総合力 メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴンへ試乗 レベル4に対応
公開 : 2023.10.08 19:05
メカニズムの精巧さは出色 MBUXは最新版
メルセデス・ベンツらしく、メカニズムの精巧さは出色。エンジンは温まると静かに回転し、フィーリングも滑らか。日常域ではテキパキとシフトアップが繰り返され、遠くからハミングが聞こえてくるに過ぎない。
アクセルレスポンスに優れ、低速域では扱いやすさが光る。速度域の高い幹線道路では高めのギア比が活用され、向上した空力特性も手助けし、スムーズに先を急げる。
E 220dは燃費も優秀。WLTP値では17.6-20.0km/Lがうたわれ、高止まりする軽油価格への出費を抑えられる。欧州大陸を横断するようなシーンでも頼もしい。
車内空間は先代より広げられ、快適性も増している。インフォテインメント・システムはアップル・カープレイとアンドロイド・オートへ標準で対応。拡張現実機能へ対応した、ヘッドアップ・ディスプレイもオプションで装備できる。
オペレーティング・システムのMBUXも最新版で、タッチモニターでの操作に加えて、音声操作の反応も進歩している。ドライバーの特性を学習し、好みに応じたナビルートや情報を提案してくれる、人工知能も実装するという。
内装へ用いられる素材は高品質。スイッチや小物入れの蓋など、動作する部分のタッチにも気が配られている。お高めの価格にも納得といえる。
ホイールベースが伸びたことで、リアシート側は前後で15mm、左右で25mm、空間が広がった。荷室容量はトノカバー下で615L。先代より25L小さいが、リアシートを折り畳めば、10L大きい1830Lの空間を作れる。
大きさを考えれば走りは機敏 高い総合力
全長約5mのステーションワゴンであることを考えれば、走りも機敏。ステアリングホイールには適度な重み付けが与えられ、レシオも妥当。特有の滑らかさと正確性を伴い、不安なく大きなボディを導ける。
Eクラス・ステーションワゴンの場合、リア・サスペンションはシングルチャンバーのエアスプリングが標準。重い荷物の運搬を想定し、セルフレベリング機能も付く。
フロントもエアスプリングになり、連続可変ダンピング・コントロール機能を追加できる、エアマティックはオプション。これを追加すれば、一層しなやかな乗り心地に浸れる。姿勢制御の精度も高まる。
最大牽引重量は、ブレーキなしのトレーラーで2100kgまで対応。これ以上の重量物を引っ張りたい場合は、四輪駆動の4マティックを選ぶといい。
クルマとしての能力の広汎さで、Eクラス・ステーションワゴンに並ぶモデルは非常に限られる。特に倹約的な220dは、ファミリーカーとしてだけでなく、タフさが求められるタクシーとしても欧州では活躍するはず。
ちなみに、僅かに車高が持ち上げられ、クロスオーバー風に仕立てたオールテレインも登場予定。Eクラス・ステーションワゴンの中で、最も高い完成度を得る可能性がある。
確かに、ドライビング体験での興奮が高いとはいえない。それでも、快適性や実用性、経済性など、それを上回る総合力が備わる。ただし、新型Eクラスのサルーンを基準に考えると、少々価格は上昇する見込み。英国での販売は、2023年後半から始まる。
メルセデス・ベンツE 220d ステーションワゴン(欧州仕様)のスペック
英国価格:5万5000ポンド(約995万円/予想)
全長:4949mm
全幅:1880mm
全高:1469mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:17.6-20.0km/L
CO2排出量:131-149g/km
車両重量:1915kg
パワートレイン:直列4気筒1993ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:12.4kWh
最高出力:196ps/3600rpm(システム総合)
最大トルク:44.7kg-m/1800-2800rpm(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)