フェラーリ SF90XX 初の公道を走れるXXモデル日本発表 3つの注目点

公開 : 2023.09.21 17:45

公道を走れるレーシングカーといえるフェラーリ・スペチアーレの最新モデル、SF90XXストラダーレが日本上陸しました。V8ターボエンジンとモーターによる総出力1030psのPHEVマシンは、まさにフェラーリのテクノロジーを象徴する一台でといえるでしょう。

フェラーリ SF90XXストラダーレ/スパイダー

6月末にフィオラーノ・サーキットに隣接する会場で発表された、新時代のスペチアーレ・モデルとなるSF90XXストラダーレが、早くも日本に上陸し精悍な姿が披露された。

フェラーリのスペチアーレは、走りを突き詰めた仕立てが特徴だ。2003年に公道を走れるチャレンジカーを謳うチャレンジストラダーレが送り出され、ここから歴史が始まった。以来F430、458、488に展開してきたが、初のPHEVスペチアーレとなるのがSF90XXだ。その基本は2019年にデビューしたSF90ストラダーレである。

フェラーリ SF90XXストラダーレ
フェラーリ SF90XXストラダーレ    上野和秀

一方で選りすぐりのカスタマードライバーが、サーキットで究極のドライビングを愉しむと共に、新型車開発用のデータを提供するのが2005年に始まったXXプログラムとなる。SF90XXには、公道モデルのパフォーマンスを新たなレベルに押し上げるというスペチアーレの伝統と、限界の走りを楽しむXXプログラムの血筋が融合した公道用モデルなのである。フェラーリ社極東・中東地域代表取締役社長ディーター・クネヒテル氏は「私たちが目指したのは、『レーシングカーのエキサイティングな体験』を再現すること」と述べた。

《注目点1》1030psのPHEV

SF90XXのミッドに積まれる排気量3990ccのV8ターボ内燃エンジンは、さらなるチューニングを加え、SF90ストラダーレに比べ17psアップした797psを発揮する。電動モーターは前軸に2基と、エンジンとギアボックス間に1基を配置。電動系の冷却効率を高めて13ps増大し合計223psを発揮し、エンジンとの統合出力は1030psに達する。

PHEVだけに電動での走行もでき、フロントの電動モーターにより最高速度135km/h、25kmの走行を実現。早朝の住宅地で排気音を気にせず出られるのは助る。

フェラーリ SF90XXストラダーレ
フェラーリ SF90XXストラダーレ    上野和秀

1030psと聞けば身構えてしまうが、これまで採用してきたドライビングアシストに加え、6W-CDSによりグリップを最大限に保ち、常に最高の性能を安全に楽しめる。究極を目指したパワートレインにより、SF90XXストラダーレは最高速度320km/h、0-100km/h加速;2.3秒、0-200km/h加速:6.5秒と圧倒的な動力性能を発揮する。

《注目点2》リアウイングの復活

SF90XXにはベルリネッタの「ストラダーレ」と、カーボン製リトラクタブル・ハードトップを備える「スパイダー」の2タイプが用意された。何よりの特徴は、独立したリアウイングが採用されたことだ。フェラーリのロードカーとしては1995年に登場したF50以来となる装備で、高いダウンフォースを獲得する。

リアエンドにはブロウン・スポイラーが備わる。シャットオフ・ガーニーの作動時は、リアウイングとあわせ250 km/hで最大530kgものダウンフォースを発生するという。ノーズには大きなアンダーウイングが備わるほかSダクトが採用され、ヘッドランプの横に縦型の整風板を装備するなど徹底的に突き詰められ、空力デバイスのデパート状態にある。

フェラーリ SF90XXストラダーレ
フェラーリ SF90XXストラダーレ    上野和秀

ディテールで注目したいのが、前後フェンダーに備わる3条のルーバーだ。250GTOに始まるパワーを象徴する造形で、SF90XXでもスタイリングにマッチする形状とされている。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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