FIA会長、F1の内部対立を語る モハメド・ビン・スライエム氏にインタビュー 自身の論争、透明性、リバティについて訊く

公開 : 2023.09.25 20:05

「FIAはメンバーのために」

FIAは2026年のパワーユニット・ルールの策定を監督し、内燃エンジンと電気動力の比率を50:50に切り替えた。現在、レッドブルをはじめとする一部のチームは、V6に有利なウェイトに調整するよう働きかけている。ビン・スライエム氏はこれを受け入れるだろうが、正しいプロセスを経て追求される場合に限る。

同様に、2022年のコストキャップの結果に関する論争も控えており、一部のチームが経費を使いすぎているという噂が流れている。ドメニカリ氏は最近、このような事態が発生した場合の制裁を公に求めたが、それはもちろん規制当局の領域である。

"友人であり敵でもある" レッドブルの代表、クリスチャン・ホーナーとの軽いひととき。
"友人であり敵でもある" レッドブルの代表、クリスチャン・ホーナーとの軽いひととき。

そして、すでに交渉段階にある次のコンコルド協定の問題もある。ビン・スライエム氏は、強力な規制当局の必要性と、ドメニカリ氏とF1がその価値を認めている事実を強調する。

F1が望むサービス向上のためにFIAが求めているのは、より大きな財源であることは明らかだ。言うまでもないことだが、F1にとって追加資金の調達というのはあまり乗り気ではないし、その余地もないと考えている。

「わたし達にはFIAに対する敬意と認識、そして公正さが必要です。わたし達はそこに到達しつつある。ステファノとはこの件に関していいミーティングができたし、彼はFIAのニーズと一致しています」

「わたし達はクリアでなければなりません。スチュワーディングの改善、レースディレクターのパスウェイプログラムの改善、ROC(リモート・オペレーション・センター)の改善、機材の改善など、どこへ向かうのかを示さなければなりません」

「(次の)コンコルド協定は2年半先ですが、FIA、FOM(リバティ・メディアが所有するフォーミュラ1マネジメント)、そしてチームの3つの利害関係者がいます。全員にとって公平でなければなりません。わたし達は障害を作るためにここにいるのではありません。わたし達はともに前進するためにここにいますが、不公平であれば前進することはできません」

会長に就任してからのビン・スライエム氏の行動を目の当たりにし、そして今、彼と話してみると、前任者達とはまったく違うことは明らかだ。

かのアイルトン・セナを苦しめたジャン・マリー・バレストル氏が急成長するF1の商業的側面との戦いに敗れた時期、マックス・モズレー氏が旧友でFOMの独裁者であるバーニー・エクレストン氏とパートナーシップを築いた時期、そして知名度の低いジャン・トッド時代と続いてきた。

FIAの大義のために戦おうとするビン・スライエム氏の決意は称賛に値するものであり、彼のマニフェストである「FIA for members」に合致している。その成否は、2年後に行われる再選挙の行方を左右する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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