トヨタ・カローラ・フィールダー ハイブリッド

公開 : 2013.10.27 16:46  更新 : 2021.01.28 16:58

プラットフォームをはじめとして、カローラ・ハイブリッドの走行メカは基本的にアクアと共通である。システム出力もアクアと同等だが、今回のワゴンだと車重はアクアより100kgほど重い。さすがにこのクラスで100kgちがうと、それはハッキリ体感できる。アクアの走りが大ざっぱにいって「純エンジン1.5ℓ相当」とすれば、カローラ・ハイブリッドのそれは「同じく1.3ℓプラスアルファ」という感じ。もちろん、困るほど遅くはないが、とくに速くはない。

ハイブリッド化に伴っては、サスペンションのリチューンやバッテリー周辺のボディ強化、さらに吸遮音材の追加に高遮音シールドフロントウィンドウの採用……と、いつもの手馴れた対策が施されている。ただ、実際の完成度は「今ひとつ努力を」といわざるをえない。ハイブリッドで静粛対策が強化されるのは、パワートレインが静かになったことで、相対的にそれ以外のノイズが目立ってしまうためだが、カローラ・ハイブリッドではロードノイズが際立ってしまっていて、かなり気になるレベルにある。また、フットワークはアクアより乗り心地を重視したというものの、低重心のアクアより上屋の動きが大きく、ロール剛性が低いわりに、突き上げは意外なほど鋭い。

それより感心したのは、今さらながらカローラの視界の良さだ(この点はもちろんハイブリッドにかぎったことではない)。日本の高齢者ドライバーにフォーカスした今のカローラは、今どきのクルマとしてはAピラーがかなり立っており、左右方向の視界を邪魔しない。また、昨今でこれほど奥行の短いダッシュボードも、ほかにはメルセデスくらいか。現在のカローラはモデルチェンジで小型化したことでも話題になったが、その実寸以上にクルマは小さく感じる。

かつてのエンジンの総DOHC化やバックモニター標準装備化など、なんだかんだいっても、カローラはそのときどきの世相を強くうかがわせるクルマだった。DOHCもバックモニターも、カローラが手を出したことで一気に普及した。その意味では、そのカローラがハイブリッドとなったことは、いかにも今の世相っぽくて感慨深いところである。本誌読者の多くは今のカローラにほとんど興味がないかもしれないが、これほど高齢者ドライバーを強く意識したクルマもほかになく、高齢化社会もニッポンの世相である。そう考えると、昨今の高齢者ドライバーがハイブリッド以上に切実に欲するモノが、いまだカローラにまったく用意されないのは残念だ。それは、衝突防止機能オートブレーキ機能である。この点については完全にトヨタの読みちがい、出遅れが顕著な分野である。

(文・佐野弘宗 写真・花村英典)

トヨタ・カローラ・フィールダー ハイブリッドG“エアロツアラーW×B”

価格 234.0万円
0-100km/h na
最高速度 na
燃費 33.0km/ℓ
CO₂排出量 70g/km
車両重量 1180kg
エンジン形式 直4DOHC, 1496cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
エンジン最高出力 74ps/4800rpm
エンジン最大トルク 11.3kg-m/3600-4400rpm
圧縮比 13.4:1
変速機 電気式無段変速
モーター出力/トルク 61ps/17.2kg-m
システム出力/トルク 100ps/na
馬力荷重比 84.7ps/t
全長 4360mm
全幅 1695mm
全高 1475mm
ホイールベース 2600mm
燃料タンク容量 36ℓ
荷室容量 407-872ℓ
サスペンション (前)マクファーソン・ストラット
(後)トーションビーム
ブレーキ (前) Vディスク
(後)ドラム
タイヤ 185/60R15

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