ニュルブルクリンク 電気自動車(EV)・全カテゴリー歴代最速記録 ポルシェの栄冠

公開 : 2023.10.01 18:25

7 – メルセデス・ベンツSLS AMGエレクトリック・ドライブ – 7:56:23

エレクトリックブルーに染まったSLS AMGエレクトリック・ドライブは非常に際立った存在だが、2013年のニュルブルクリンクでの記録も同様に見逃せない。750psものパワーと102kg-mのトルクもまた極端なものである。

7 - メルセデス・ベンツSLS AMGエレクトリック・ドライブ
7 – メルセデス・ベンツSLS AMGエレクトリック・ドライブ

8 – アウディR8 eトロン – 8:09:09

アウディR8 eトロンは、メルセデス・ベンツSLS AMGエレクトリック・ドライブが出走するまでの約1年間、1位の座を守り続けた。パワーは380psとメルセデスの約半分だったが、トルクは83.6kg-mとパフォーマンスに不足はない。

8 - アウディR8 eトロン
8 – アウディR8 eトロン

全カテゴリー総合:1 – ポルシェ919ハイブリッド・エボ – 5:19:546

ここからは、全カテゴリーを通じてニュルブルクリンクの歴代最速ラップを記録したマシンを紹介しよう。

ル・マンで優勝したプロトタイプレーサー、919ハイブリッドの制限を解除し、象徴的なサーキットを巡るツアーに送り出したとき、ポルシェが念頭に置いていたのはノルドシュライフェの歴代最速ラップを更新することだった。

1 - ポルシェ919ハイブリッド・エボ
1 – ポルシェ919ハイブリッド・エボ

マシンはレース仕様よりも39kg軽量化され、エアロダイナミクスは根本的に見直され、ダウンフォースが53%向上した。2.0L V4ハイブリッド・パワートレインは最高出力720psにチューンアップされ、さらに電気モーターから439psが供給された。

ポルシェのワークスドライバーであるティモ・ベルンハルト氏がステアリングを握った919エボは、練習走行で5分24秒375を記録した後、公式走行で5分19秒546を記録し、ラップレコードを塗り替えた。

2 – フォルクスワーゲンID.R – 6:05:336

フォルクスワーゲンID.RはEV最速のラップタイムを記録しただけでなく、史上最速記録も達成していた。その後、英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライムや中国の天門山大門道路でも記録を更新し、その先駆的な技術はフォルクスワーゲンのR部門の市販電動車にも影響を与えることになる。

2 - フォルクスワーゲンID.R
2 – フォルクスワーゲンID.R

3 – ポルシェ956 – 6:11:13

1983年のニュルブルクリンク1000kmレースの予選で故ステファン・ベロフ氏がドライブしたポルシェ956は、30年以上にわたってニュルブルクリンクの絶対的なラップレコード保持者であった。その後、ニュルブルクリンクにF1サーキットが建設されたため、ル・マン・スポーツカーが全長20.832kmのノルドシュライフェを走る唯一のレースとなった。

当時25歳のベロフ氏が乗る956は、最高出力630psを発生する2.65Lフラット6を搭載し、グランドエフェクト・ダウンフォースを生み出すアンダーボディを備えていた。

3 - ポルシェ956
3 – ポルシェ956

予選でのベロフ氏の目標は、同じポルシェドライバーのヨッヘン・マス氏のベストラップを上回ることだった。新しい13インチのフロントホイールにも助けられ、2度のミスを犯し、下位クラスのポルシェ911に一度はかわされながらも、見事な走りを見せた。彼の平均速度は200km/h以上だった。

ベロフ氏はレース本番でもそのペースを維持し、オープニング6周でマス氏に36秒のリードを築いた。しかし、燃料をセーブするよう促していたチームにとっては、彼のペースは決して満足のいくものではなかった。チームメイトのデレク・ベル氏のスティントでリードを縮められたベロフ氏は、第2スティントで挽回を図る。しかし、プランツガルテンと呼ばれるコーナーで260km/hでクラッシュ。幸運にも無傷で助かった。

今も、内燃エンジンだけでニュルブルクリンクを走破した最速のクルマである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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