新開発モーターで659psへ BMW i7 M70 xドライブへ試乗 Mのイニシャルへ相応しい

公開 : 2023.10.21 19:05

BMWのフラッグシップ電動サルーンに、Mパフォーマンス仕様が登場 新開発モーターで659psと111.9kg-m獲得 英国編集部が公道で評価

新開発モーターで659psと111.9kg-m獲得

BMWが拡充を進めるバッテリーEVのラインナップで、フラッグシップ・サルーンの座に君臨するi7。そこへ追加されたM70 xドライブのスペック表には、Mのイニシャルへ相応しい数字が並ぶ。

i7 xドライブ60 Mスポーツは、従来の7シリーズの概念を塗り替えるほど、秀でたモデルに仕上がっていた。その上へ据えられるのが、このi7 M70 xドライブだ。新開発の駆動用モーターが、リアアクスルへ与えられたことが最大のトピックといえる。

BMW i7 M70 xドライブ(欧州仕様)
BMW i7 M70 xドライブ(欧州仕様)

BMW独自開発のユニットで、特許を取得した6相構造を採用するらしい。同社によると、従来のモーターを2基搭載するより、新しいモーターの方が得られる出力が高く、エネルギー効率にも優れるとか。

最高出力も大幅に向上し、フロントアクスル側の駆動用モーターとの合計で、659psを達成している。最大トルクは111.9kg-mにもなる。その結果、0-100km/h加速を3.7秒でこなすという。

実際に体験してみると、その勢いはまさに驚異的。ステアリングホイール裏のブーストパドルを弾いてフルパワーを開放し、右足を傾けるだけで、ワープするような突進が始まる。ラグジュアリーなインテリアとは、まったく釣り合いが取れない瞬発力だ。

走りは間違いなく高次元 快適性も犠牲にせず

2695kgも車重があるリムジンでありながら、カーボンファイバー製シェルで構成されたスーパーカーさながらに、乗員の背中はソフトなシートへ押し付けられる。ホームシネマのようなモニターで映画鑑賞するリアシートのオーナーを、不快にさせるに違いない。

加えて、極めて意欲的な身のこなしや、鮮明な操縦性にも舌を巻く。まさに、BMWのMパフォーマンスの水準にある。

BMW i7 M70 xドライブ(欧州仕様)
BMW i7 M70 xドライブ(欧州仕様)

ダンパーと後輪操舵システム、アクティブ・アンチロールバーは入念にチューニングされ、自在なトルク分配を叶えた四輪駆動システム、xドライブが融合。全長が5391mmもあることを意識させずに、理想的な環境の一般道を楽しませてくれる。

ステアリングの精度も非常に高く、走りは間違いなく高次元。普段は運転手へお任せするオーナーも、時々フロントシートで運転に夢中になろうと思うかもしれない。特に、軽く急いでいるようなペースとの相性は素晴らしい。

大きなボディを、小さく感じることまではないだろう。だが、BMWらしい熱意がある。さらに、xドライブ60が実現する、世界トップクラスの快適性も犠牲にはなっていない。

実際、デフォルトのドライブモードでは、サスペンションとパワートレインの特性はxドライブ60と同一だという。むしろ、21インチ・ホイールが軽い専用品となるため、バネ下重量が減り、理論的には乗り心地は一層優れると考えていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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