マツダ・アクセラスポーツ・プロトタイプ

公開 : 2013.09.27 20:18  更新 : 2017.05.29 19:13

アテンザCX-5同様にシャシー関連に特筆すべき新機軸やハイテクの類はないものの、とにかく“人馬一体”をキーワードに、レスポンスやフィードバック、荷重移動……などを、徹底的かつマニアックにアナログ技術を突き詰めたのが、走行面における新型アクセラの売りである。調整幅の大きいテレスコをはじめとしてドラポジがピタリと決まって、手を自然に伸ばしたり下ろしたりした場所に操作系があるのも、最新マツダの美点。シート骨格は基本的にCX-5以来のものがベースだが、「よりフラットな体圧分布」を目指して設計を見直したという。実際シートのフィット感はかなりよい。ただ、2700mmというセグでは異例に長いホイールベース(全長も5ドアですら4.5m近い)のわりには、後席は意外に広くない。低くスポーティなスタイルもその一因だが、それ以上にエンジンが後方排気で4→2→1排気管を持つスカイアクティブでは、エンジンとトーボードの距離がFF車としては遠い点が大きい。また、マツダは右ハンでもドラポジを妥協なく突き詰めていることもあって、正直なところ、スペース効率はさほど優秀な部類ではない。

細かいグレード構成や装備内容は不明であるものの、今回は2.0ℓが18インチ、1.5ℓが16インチタイヤを履いていた。ステアリングはさすがにシャープで、かといって過敏でないギリギリの調律はマツダらしい。ただ、18インチの2.0ℓはとくに後席の突きあげや震動が少なくなく、またステアリングの接地感が希薄なのがちょっと残念。ロードノイズもけっこう大きい。ただ、同じ18インチでもA/TとM/Tではかなり印象が異なり、ノーズが軽いM/Tのほうが総じて乗り心地がよく、反応もリニアだった。発売間近なのでセッティングはすでに煮詰まっており、担当者は「個体差は大きくないはず」というので、考えられるのは変速機の違いによる前軸荷重の差、およびそれに対応したサスペンションの微妙な前後バランスが原因だろうか。まあ、それを差し引いても、乗り心地や細かいロードホールディングなど、トータルでは18インチの履きこなしにはまだ熟成の余地がある。

なんとなくモヤモヤした印象の2.0ℓに対して、1.5ℓはとても爽やかなライトスポーツハッチだった。エンジンも絶対パワーは控えめだが、トップエンドまで軽々と気持ちよく回る。軽いノーズと適度なタイヤグリップでヨーコントロールの自由度も高い。エコタイヤだがグリップが低すぎることもなく、乗り心地も接地感も十分に満足いくデキである。さらに今回は6段M/Tが選べるのもマニアには朗報。歴代アクセラ1.5ℓはいつも「知る人ぞ知る佳作」だったが、その伝統は今回も健在である。現時点で価格はもちろん未定だが、この1.5ℓが従来と同等かそこに毛が生えた程度(200万円以下)なら、もはや日本車にも輸入車にも直接ライバル不在の貴重な存在になりそうだ。スカイアクティブはA/Tでも変速のキレはいいし、マニュアルモードは完全な手動変速になるので、あえてM/Tを選ばずとも2ペダルでも十分に楽しめる。

(文と写真・佐野弘宗)

マツダ・アクセラ・スポーツ1.5GE&スポーツ2.0GE

価格 na na
最高速度 na na
燃費 19.4km/ℓ 19.0km/ℓ
CO₂排出量 na na
車両重量 na na
エンジン形式 直4DOHC, 1496cc 直4 DOHC, 1997cc
エンジン配置 フロント横置き フロント横置き
駆動方式 前輪駆動 前輪駆動
最高出力 111ps/6000rpm 155ps/6000rpm
最大最大トルク 14.7kg-m/3500rpm 20.0kg-m/4000rpm
馬力荷重比
比出力 74.2ps/ℓ 77.6ps/ℓ
圧縮比 13.0:1 13.0:1
変速機 6段A/T 6段A/T
全長 4460mm 4460mm
全幅 1795mm 1795mm
全高 1470mm 1470mm
ホイールベース 2700mm 2700mm
燃料タンク容量 51ℓ 51ℓ
荷室容量 350ℓ 350ℓ
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット マクファーソン・ストラット
サスペンション(後) マルチリンク マルチリンク
ブレーキ(前) Vディスク Vディスク
ブレーキ(後) ディスク ディスク
タイヤ 205/60R16 215/45R18

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