オープンでも美貌は不変 フェラーリ・ローマ・スパイダーへ試乗 輝かしいスポーツ・グランドツアラー(1)

公開 : 2023.10.01 19:05

モダン・フェラーリの強力さへ浸れる620ps

その理由は、フラットプレーン・クランクシャフトを採用するため。バンクを挟んで並ぶ4気筒のうち、1気筒づつ同時に点火される構造上、音質としては2基並んだ直列4気筒へ近くなってしまうのだ。

高回転域では張り詰めた響きへ高まり、高性能・多気筒ユニットであることを堪能できる。だが、メルセデスAMG SLレクサスLCの音響体験には届いていない。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)

そのV8エンジンは、ハイブリッド・システムの載らない3.9Lツインターボ。ボディ後方の形状が変わったことで、共鳴する音域も変化し、エグゾーストシステムに若干の変更を受けているが、基本的にはクーペと同じユニットだ。

動力性能に不満はないはず。最高出力620ps、最大トルク77.4kg-mを誇り、0-100km/h加速は3.4秒でクーペと変わらない。実際、これ以上は必要ないと思わせる。

低いギアが選ばれている時は、制御システムが自動的に発生トルクを制限し、滑らかな市街地走行をアシストする。スタートダッシュが爆発的に鋭いとは感じさせないものの、8500rpmまで活用すれば、モダン・フェラーリのパワフルさへ浸れる。

装着タイヤは、ローマ・スパイダー専用開発となるブリヂストン・ポテンザ・スポーツ。クーペが履く、ミシュランピレリとは異なる。試乗したスペイン・サルデーニャ島の乾燥した路面を、驚くほど見事に掴み続けていた。

オープンカーだから、優雅に海岸線を流すスタイルが望ましいかもしれない。とはいえ、ドライブモードのマネッティーノを引き上げても、公道の範囲では、幅が285あるリアタイヤがむずがる様子はなかった。

この続きは、フェラーリ・ローマ・スパイダーへ試乗 輝かしいスポーツ・グランドツアラー(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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