印象的に心地良い走り フェラーリ・ローマ・スパイダーへ試乗 輝かしいスポーツ・グランドツアラー(2)

公開 : 2023.10.01 19:06

少しだけソフトなローマ 増額分の魅力も獲得

ステアリングのレシオもクーペと同じ。しかし、サスペンションとボディが僅かにソフト寄りなため、実際には反応が若干スローに転じているとのこと。

フェラーリだからクイックなことに変わりはないが、クーペで感じたように、慣れが必要なほど鋭いわけではない。手のひらへは、繊細なフィードバックまでは伝わってこないものの、満足できる感触はある。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)

極めて高次元なフロントタイヤのグリップ力と、最小限のボディロールとが組み合わさり、ローマ・スパイダーの挙動を手に取るように感じ取れる。ドライバーは、自然と大きな自信を抱ける。

マネッティーノのダイヤルを最後まで回し切ると、ESCが完全にオフになる。ローマ・スパイダーの白眉のバランスが、すべて堪能できるようになる。

トラクションは巨大で、それを超えると途端にテールが流れ始める。だが、クイックなステアリングを活かし、オーバーステア状態を維持しやすい。充分に広い道なら、恐怖感を感じることなく、エキサイティングなドライブへ興じれるだろう。

フェラーリ・ローマ・スパイダーは、快適性や動的能力など、クーペに対し犠牲を払っている部分は皆無といえる。輝かしいスポーツ・グランドツアラーだと思う。

英国価格は、クーペから数万ポンド(数100万円)高くなる。とはいえ、ほんの少しだけソフトになったローマは、増額分の魅力も獲得したようだ。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)のスペック

英国価格:21万313ポンド(約3806万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1306mm
最高速度:320km/h
0-97km/h加速:3.4秒
燃費:8.8km/L
CO2排出量:258g/km
車両重量:1556kg(軽量化パッケージ)
パワートレイン:V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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