奇跡的なドイツ復興を牽引 メルセデス・ベンツ170 S 秘密情報部員が乗ったカブリオレ(1)

公開 : 2023.10.21 17:45

ドイツの奇跡的な経済発展を力強く牽引

チーフエンジニアを努めたのは、ハンス・ニーベル氏。彼は、1937年から1939年に活躍したグランプリマシンへ向けて設計したフロントサスペンションに手を加え、170 Sのシャシーへ与えた。

ベーシックなW136型では、横向きにリーフスプリングが2本組まれる構成だが、コイルスプリングへ変更。ダブルウイッシュボーンへ改め、テレスコピックダンパーも装備された。さらに、ブレーキも強化されていた。

メルセデス・ベンツ170 S カブリオレB(1949〜1951年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ170 S カブリオレB(1949〜1951年/欧州仕様)

170 Sのボディは、僅かに長く幅も広い。上級仕様らしくヒーターがオプションで設定され、ボンネット・サイドのルーバーには、クロームメッキの装飾が施された。バンパーも大きく、ウインカーも装備していた。

今回ご紹介する170 S は、1951年に生産されたカブリオレBだ。この頃までに、内装も多くのクロームメッキ・トリムで飾られるようになっていた。

さらに、ヘッドライトがフロントフェンダーと一体になった、ひと回り大きいW187型が登場。直列6気筒エンジンを搭載し、2+2のシートレイアウトは220 カブリオレA、より広い4シーターは220 カブリオレBと名付けられた。

1951年には、旧西ドイツの初代連邦首相を努めたコンラート・アデナウアー氏を乗せた、リムジンのW186型300も発表。量産モデルの輸出は本格化し、メルセデス・ベンツだけでなく、ドイツの奇跡的な経済発展を力強く牽引することになった。

この続きは、メルセデス・ベンツ170 S 秘密情報部員が乗ったカブリオレ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

メルセデス・ベンツ170 S 秘密情報部員が乗ったカブリオレの前後関係

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