日産キャラバン・マイルームが、車中泊の新基準なワケ 「ラシーン」の色が復活

公開 : 2023.10.11 14:06  更新 : 2023.10.11 19:42

表・裏で異なるクッション 「2 in 1シート」

飾らない居心地の良さをモットーにした車内デザインは、モダンなリビングルームのようなおしゃれで明るい印象だ。

ナチュラルウッド調を基調とし、ヘリンボーン生地のシートやマットを組み合わせ、シンプルモダンな雰囲気を演出。日中は木目調ブラインドでスタイリッシュに光の調整ができ、夜は電球色の温かみのある照明でリラックス効果も。

2パターンのシートが体現できる2 in 1構造は業界初。走行モード(前向き)は安全な姿勢を保つよう設計され、クッションの硬い面が上面に。駐車モード(後ろ向き)では、柔らかい面が上面となる。アレンジの操作性も簡単だ。右下画像は跳ね上げベッドを下ろし、2列目シートも倒したフルフラット状態。
2パターンのシートが体現できる2 in 1構造は業界初。走行モード(前向き)は安全な姿勢を保つよう設計され、クッションの硬い面が上面に。駐車モード(後ろ向き)では、柔らかい面が上面となる。アレンジの操作性も簡単だ。右下画像は跳ね上げベッドを下ろし、2列目シートも倒したフルフラット状態。    宮澤佳久

壁面一体化の造作棚は収納力もあり、蓋付きなので走行中の振動で物が散乱する心配無用。直線的なフォルムを多用することで清潔な部屋感を作り上げている。

セカンドシートは、走行時や駐車時に応じてアレンジできる「2 in 1」タイプを採用。

安全姿勢を保つよう設計された走行モードでのシートは、程良い硬さを持たせ、座り心地を追求。一方、駐車時に反転させて使用するシートは柔らかなソファのような快適さがこだわりだ。このような、シート表裏でクッションの硬さが異なる2 in 1構造は業界初となる試み。

反転させたソファモードのセカンドシートに付属のテーブルをレイアウトすれば、自宅リビングさながらのくつろぎシーンを演出。リアゲートを開ければ自然の景色を愛でながらカフェタイム……なんとも自宅以上の贅沢時間が堪能できそうだ。

もう1つのアレンジ 折りたたみ使い方

「折りたたみベッド」タイプでは、マットを折り重ねセパレートに設置すればベンチシートに早変わり。

付属のテーブルを中央にセットし、ダイニングテーブルのような使い方もできる。迎え合わせで食事もできるし、左右でワークスペースをシェアすることも可能だ。

「折りたたみベッド」タイプをベンチシートのようにアレンジしたところ。食事に、ワークスペースに、マイルームの使い方が広がる。
「折りたたみベッド」タイプをベンチシートのようにアレンジしたところ。食事に、ワークスペースに、マイルームの使い方が広がる。    宮澤佳久

就寝のみならず、食事や仕事、趣味などが楽しめるマイルーム。自宅部屋のような使い方ができて、非日常が味わえるのがこの車両の醍醐味といえる。

デザイン本部の開発担当者の方に話を聞くと、「肩肘張らないシンプルモダンにこだわってきましたが、出来上がってみるとどこか“和のテイスト”を感じるんですよ。ヘリンボーンが畳のようにも見えたりして……」。

なるほど、ガチなキャンパーではなく、欧米風なハイカラでもなく、おしゃれで落ち着きのある和モダンテイストといったところだろうか。

くつろぎと癒しは、我々日本人の暮らしに欠かせない文化である。この車両で出かければ、ほっこりした時間が過ごせそうだ。

かくいう筆者も車中泊派である。大型の愛犬がいるので、特に気になるのは暑さ対策。

この発表会で車両に積載されていたのは、日産リーフで使用済みの駆動用バッテリーを再利用し車載対応に開発された「ポータブルバッテリー from LEAF」(ディーラーオプション設定)。

こうしたポータブルバッテリーで給電すれば、装備される換気ファンを利用できるほか、室外機一体型のポータブルエアコンやクーラーも活用できる。また車内に複数設置されるコンセントも使用可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    小原れみ

    大学在学中に創刊されたアメリカの自動車カスタム文化を紹介する雑誌に影響を受け、インターンシップを経て編集部員に。1996年よりフリーランスのライターに転向。米国車やカスタム車両専門誌の執筆を中心にアメリカン・カルチャー全般を担当する。愛車は、熟練ビルダーである夫の指導を受けてフレーム製作から始めた1932年式フォードのホットロッド。無類の工具&ネジ好き。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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