スバル・アウトバック 詳細データテスト クラス随一の走破性 装備やデザインは古め パワーがほしい

公開 : 2023.10.07 20:25  更新 : 2023.11.10 04:45

ワゴンボディに本格悪路走破性を備えるスバル・アウトバックは、クラスを問わずレアな存在。最新の装備やデザインは望めずとも、使い勝手いいオフローダーというキャラは、目的に適うユーザーには唯一無二のニッチモデルです。

はじめに

電動車が多数を占めるニューモデルが続々登場するなかで、販売規模が少ないブランドやクルマを見落としてしまうこともある。最新世代のスバル・アウトバックもそんな1台で、2021年発売なのにこれまで取り上げる機会を逸してきた。

それはユーザーも同じだったようだ。2022年、スバルの英国での販売台数はたったの1391台。これはアルファロメオやベントレーより少なく、上陸まもないジェネシスをわずかに上回ったのみだ。

テスト車:スバル・アウトバック2.5iリニアトロニック・ツーリング
テスト車:スバル・アウトバック2.5iリニアトロニック・ツーリング    JOHN BRADSHAW

象徴的なモデルを長年欠いていたというのも、マイナスに働いた。かつてのインプレッサであるWRX STIが販売終了したのが2017年で、その後継モデルは英国にやってこなかった。スバルはボクサー4ターボとMTを積むWRXを生産してはいるが、欧州では販売していない。

おそらく、フォルクスワーゲン・ゴルフRのようなハイパーハッチがあるならば、売るのは無駄だと考えたのだろう。それは理解できることだ。しかし、トヨタGR86が早々に完売したことを考えれば、英国のエンスージアストが少数でもBRZを販売して欲しいと期待していることは想像できる。

残念ながら、英国におけるスバルは、そういうブランドイメージを欲していないらしい。2020年、マネージングディレクターのジョン・ハーティグはオートカーに「現在のスバルブランドには関わりのないクルマです」と語っているのだ。

では、現在のスバルを代表するクルマとは何か。それを明確に示しているのはアウトバックに違いない。歴代モデル同様、真剣にリフトアップして、オフロードテイストを付加したワゴンだ。

2023年現在において一般的でないのは、パワートレインが電動化もターボ化もされていない2.5L水平対向4気筒ガソリンだということ。これらの要素はじつにニッチだが、目的にはこの上なくフィットしたものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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