スバル・アウトバック 詳細データテスト クラス随一の走破性 装備やデザインは古め パワーがほしい

公開 : 2023.10.07 20:25  更新 : 2023.11.10 04:45

意匠と技術 ★★★★★★☆☆☆☆

なんとなくスバル車を気にしてきた程度のひとなら、いつからアウトバックの車名からレガシィが消えたのか、疑問に思うかもしれない。1994年に登場した初代は、たしかにレガシィワゴンをSUV風に仕立てたクルマだった。現在でもそれは変わらないが、レガシィのセダンもワゴンも欧州で販売されなくなったのだから、もはやわざわざ名乗る必要はないといえる。

最近のスバル車はまじめで、安全性や信頼性、機能性にフォーカスし、そのことがエクステリアにも反映されている。引き上げられた車高やプラスティックのクラッディング、アンダーガードといった、アウトドアテイストのアイテムがSUV風だが、基本的にボディはワゴンフォルムで、灯火類に冒険的なところはない。

レガシィ系モデルがアウトバックのみになったのは日本も同じだが、英国仕様は車名からレガシィの文字が消えた。
レガシィ系モデルがアウトバックのみになったのは日本も同じだが、英国仕様は車名からレガシィの文字が消えた。    JOHN BRADSHAW

BRZや自社初のEVのソルテラの開発でトヨタと協力したスバルだが、主力エンジン車ではとことん独自路線を貫いている。ベースとなっているスバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)は、フォレスターやXVと共通だ。

スバルが誇る四輪駆動システムのシンメトリカルAWDは標準装備。もちろん、シンメトリカルが意味するのは、水平対向エンジンやドライブシャフトの左右が対称であることだ。本格クロカンほどではないが、このクラスでは本気度の高いシステムだ。センターデフの代わりに湿式多板クラッチを用いる。このクラスでは基本的にはセンサーがスリップを検知してから後輪へトルクを送る仕組みだが、スバルは常時クラッチを部分的に接続し、60:40の前後駆動力配分をデフォルトとしている。走行状況やモードに応じて、この割合は変更可能だ。

欧州仕様のアウトバックは、直噴2.5L自然吸気エンジンを積み、ハイブリッドアシストは用意されない。比較的シンプルなそれは、最近では一般的ではない。しかも、スバルがそうしたことにも驚きを感じる。フォレスターには電動アシストを備えたe−ボクサーを、欧州仕様以外のアウトバックには2.4Lターボを、それぞれ設定しているのだから。

2.5Lユニットは完全新開発ではないが、スバルによれば前世代に対して90%は新設計か改修を受けているとのことで、圧縮比は10.3:1から12.0:1へ高められた。しかし、最高出力発生回転数は高めの5000〜5800rpmで、ピーク値の169psは5psダウンだ。実測1690kgのクルマには、パワフルなエンジンとは言えない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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