スバル・アウトバック 詳細データテスト クラス随一の走破性 装備やデザインは古め パワーがほしい
公開 : 2023.10.07 20:25 更新 : 2023.11.10 04:45
走り ★★★★★★☆☆☆☆
169psの自然吸気ユニットとCVTというスバルの選択は、アウトバックのパフォーマンスを高めはしなかった。ドライビングスタイルをクルマに合わせる限りはまずまずで、じつにゆったり乗れるクルマだ。
CVTは控えめに加速するようプログラムされているので、エンジン回転は3000rpm程度をキープする。ということは、急いて走らなければ、エンジンが比較的に静かなまま、変速に掻き乱されず穏やかに流せるわけだ。
問題は、もう少しペースを上げたいとき、もしくは、混み合った高速道路を走らざるを得ないときだ。そうなると、1690kgのクルマに169psでは物足りないのがすぐわかる。テスト車は、0-100km/hを公称タイムより0.4秒早く駆け抜けたが、それでも9.8秒かかった。
CVTはベストを尽くしている。もしフロアまでペダルを踏み込んでも、パワーバンドをキープし続けるはずだ。擬似的なシフトチェンジも可能だ。そこに不自然さはなく、変速ノイズのないギアボックスとしか思えない。
それはかなりありがたい。というのも、このクルマのボクサー4が、サウンドを楽しめるエンジンではないからだ。低回転域では、静かすぎて個性が見出せない。高負荷時には、苦しそうな小排気量ディーゼルのような音だ。
最悪なのは、スタート/ストップシステムによる再始動時だ。クランキングに多少手間取り、とくにそのときの音がうれしくない。しかも、スタート/ストップシステムをオフにするボタンがないのが腹立たしい。タッチ画面のセッティングメニューから停止させなくてはならないのだ。
牽引重量は2000kgだが、このエンジンには荷が重いのではないだろうか。アメリカでは、同じエンジンで15ps余計に出しているし、このクルマによりふさわしいと思える264psの2.4Lターボも選べるのだが。
ブレーキペダルは、エネルギー回生による破綻がなく、うれしいくらい有機的なフィールを伝えてくる。乾燥路面での113km/hからの緊急制動距離は、比較したスコダ・シュパーブより1.8m長かった。装着されたブリヂストン・アレンザとのマッチングには疑問があるものの、スタビリティへの悪影響はみられなかった。