マツダが、このタイミングで「ロードスター」を大幅改良する理由

公開 : 2023.10.05 11:41

マツダ・ロードスターの大幅改良(!)が発表に。ランプをLED化したほか、走りにも変化が。8年を過ぎたND、なぜこれほどの変更をするのでしょうか?

実質8年目 まさかの大幅改良

マツダは10月5日、「ロードスター(ソフトトップ)」と「ロードスターRF(リトラクタブルハードトップ)」の大幅改良を発表し、全国販売店を通じて予約を開始した。発売は2024年1月中旬予定。

これに先立ち、マツダはオンラインで商品説明会を実施した。

改良新型ロードスターSスペシャルパッケージ(308万7700円~320万3200円/エアログレーメタリック)
改良新型ロードスターSスペシャルパッケージ(308万7700円~320万3200円/エアログレーメタリック)    マツダ

今回の大幅改良については、ロードースターオーナーにとって、またはいつかはロードスターオーナーになろうと夢見ている人にとって、気になることはいくつかあるはずだ。

例えば、「なぜこのタイミングでの大幅改良が必要だったか?」「大幅とは、具体的にどのような改良で、その意図は何か?」、さらには「これからロードスターはどう進化していくのか?」といった点であろう。

本稿では、これら疑問3点を、マツダ側の証言を下に順に紐解いてみたい。

第1は、大幅改良のタイミングだ。

話を初代ロードスター(NA)まで遡れば、その登場は1989年で1998年まで実質9年間にわたり製造販売された。次いで、2代目(NB)が1998年から2005年まで8年弱、そして3代目(NC)が2005年から2015年まで実質10年間と続いてきた。

一方、現行4代目(ND)は2015年登場となり、実質8年の月日が過ぎている。

つまり、歴代ロードスターの実績を見れば、そろそろフルモデルチェンジの時期とも考えられる……。

意外 ここに来て販売が倍増

歴代ロードスターの累計販売台数はグローバルで約119万台、日本では約22万台だ。

このうち、国内販売実績を世代別でみると、NAは11.8万台、NBが3.1万台、NCは1.9万台と台数は世代が進むにつれて落ちていた。

ヘッド、リア、ターンランプなどを含め、すべてのランプ類のLED化に踏み切った改良新型。現代的な表情を手に入れた。
ヘッド、リア、ターンランプなどを含め、すべてのランプ類のLED化に踏み切った改良新型。現代的な表情を手に入れた。    マツダ

それが、「NAへの原点回帰」という発想で企画・設計されたNDは、2023年8月時点で5.6万台となり、NBとNCを抜き、NAの実績に追っている状況だ。

しかも、NDは歴代3世代と比べて、モデルライフでの販売台数の変化が大きく違う。

歴代3世代では、販売初年度と2年目に販売台数が伸びて、その後の販売台数は右肩下がりになっている。これは「一般的なスポーツカーの販売動向」(マツダ国内営業本部関係者)という市場傾向だ。

ところが、NDは初年度(8418台)、2年目(6155台)、3年目(7020台)となったあと、4年目から6年目まで販売台数は5000台前後で横這いとなり、7年目で若干伸びた。さらに8年目で、前年比2倍近い急激な販売増を記録している(9567台)。

背景には、コロナ禍によってライフスタイルが変化し、スポーツカーなどへの関心が“広い世代”で高まったこと、また軽量な特別仕様車「990S」や「ブラウントップ」など商品改良が奏功したことが考えられると、マツダは分析している。

つまり、NDはまだまだ、商品改良によって販売台数は維持、またはさらに伸びる可能性があると考えられるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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