V12のヴァルキリーでル・マン復帰 アストン マーティンが発表 2025年にプロトタイプのLMhへ
公開 : 2023.10.06 08:35
V12エンジンのハイパーカー、ヴァルキリーでル・マン復帰 ハイブリッドなしで最高出力680ps ハート・オブ・レーシングがチームを運営
ヴァルキリーでル・マンのハイパーカー・クラスへ
アストン マーティンは、2025年のル・マン24時間レースへハイパーカー・クラスで参戦すると発表した。トヨタやプジョー、フェラーリの新たなライバルとして、サルト・サーキットへ返り咲くことになる。
同社は、12気筒エンジンを積んだマシンでル・マンへ参戦する意向を2019年に発表していたが、計画は凍結された状態にあった。だが2022年に入り、同社会長のローレンス・ストロール氏が、再びその可能性へ触れていた。
そして今回、英国シルバーストーンで開かれた発表会で、彼は次のように述べた。「耐久レースのトップカテゴリーへ戻ることで、お客様やコミュニティと一層深い結び付きを構築できます。ル・マンでの過去の成功が、ブランドへの情熱を生んできたのです」
コスワースが開発したヴァルキリーのV12エンジンの将来について、同社レーシング部門の技術者、アダム・カーター氏は以前の取材に対し、「絶対にないとは明言できません。ですが、現時点では何も浮上していません」。と答えていた。
「わたしもレーサーです。これまでの人生、すべてがそうでした。レースは、自身の血の中に流れています。アストン マーティンが伝えようとするメッセージへ合致するカテゴリーで、レースへ加わるべきだと考えています」。とも。
一方でカーターは、ハイパーカーの開発が内燃エンジンからの脱却やバッテリーEVの開発計画へ、大きな影響を与えることも付け加えていた。
6.5L V型12気筒は680psへ制限
参戦するマシンは、当初からル・マンを念頭に設計されたサーキット専用モデル、ヴァルキリー AMRプロをベースに開発される。FIA世界耐久選手権(WEC)と、北米のIMSAスポーツカー選手権(IMSA)の両方へ参戦可能な、6台が作られるという。
ドライバーの選考プロセスは、2023年10月中に始まるという。現在のアストン マーティンのF1ドライバーは、その中に含まれないそうだ。
マシンには、公道用ヴァルキリーとは異なり、ハイブリッド・システムは搭載されない。既に開発テストがシルバーストーンで始まっており、エンジンは自然吸気の6.5L V型12気筒。ル・マンのLMhカテゴリー規定に則り、最高出力は680psへ制限される。
シャシーはカーボンファイバー製。量産車をベースとしたル・マン・プロトタイプは、歴代初になるという。
「ヴァルキリーが、スポーツカーレースのトップカテゴリーへアストン マーティンを連れ戻してくれます。パートナーとともに、可能性を秘めた高性能なレースカーを生み出せると、確信を持っています」。とカーターは話す。