英国で買えないのが無念 新型トヨタ・プリウス PHEVへ試乗 見た目も中身も好印象

公開 : 2023.10.17 19:05

巧妙なHVの制御 運転を楽しめるシャシー

4気筒エンジンに2基の電気モーターが組み合わされ、システム総合での最高出力は223ps。駆動用バッテリーは13.6kWhの容量があり、最長72kmまでエンジンを回さずに走行できる。

ハイブリッドの制御も非常に巧妙。駆動用バッテリーだけで充分な距離を走れるうえに、通常は内燃エンジンと協働し、電気エネルギーを効率的に消費していく。普通に運転している限り、駆動用バッテリーが完全に空になることはない。

トヨタ・プリウス PHEV(欧州仕様)
トヨタプリウス PHEV(欧州仕様)

充電量が乏しくなると、4気筒エンジンが少し不機嫌そうなノイズを放ち始める。特に鋭い加速を求めると、上質さへ明確に陰りが出る。とはいえ、これはプリウス以外のプラグイン・ハイブリッドでも同様だ。

むしろ、車重がかさみボディが大きくなりがちなバッテリーEVと異なり、プリウスの走り味は軽快で新鮮。トヨタのTNGAプラットフォームを基礎骨格とし、カローラなどと同じく操縦性に優れる。従来から剛性が高められ、安定性も向上したとか。

タイトなボディが表現するように、ギュッと引き締まった身のこなしで、機敏で意欲的に旋回していく。トヨタbZ4Xと同じ、リムの太いステアリングホイールは手のひらへフィットし、反応は正確でダイレクトだ。

キツめのカーブでも、気持ちよく駆け抜けられる。アンダーステアも驚くほど抑えられている。

普段使いの範囲でも、運転を楽しめる。乗り心地は速度域を問わずしなやかで、全体的な操縦性の良さを、しっかり担保している。プリウスへこんな表現をするとは、想像していなかった。

英国では購入できない事実が残念

インテリアには、スタイリングから受けるほどのダイナミックさはないだろう。それでも、エアコンの操作系には実際に押せるハードスイッチが残されており、使いやすい。

ダッシュボードの中央には、ワイドなインフォテインメント用タッチモニターが立ち上がっている。表示は鮮明で、グラフィックも悪くない。

トヨタ・プリウス PHEV(欧州仕様)
トヨタ・プリウス PHEV(欧州仕様)    トヨタ

ドライバーの正面には小さなメーター用モニターが据えられるが、ダッシュボードの奥に位置するため見やすい。運転中の目線へ自然に収まり、ヘッドアップディスプレイを不要に感じさせる。

低く滑らかなサイドシルエットのおかげで、リアシートの空間は多少犠牲になっている。サイドウインドウも小さく、多少の圧迫感はあるものの、包まれ感が心地良いと
思う人もいるだろう。

ボディ側のドアハンドルは、先代のC-HRのように、リアピラーの付け根にある。車内側は一般的なドアパネルの位置にあり、乗り降りする時に少し戸惑うかもしれない。

高い完成度にある5代目プリウスを、英国では購入できないという事実が、筆者は残念でならない。確かに、4代目の売れ行きは低調だったかもしれない。だが、新世代で状況は変わるのではないだろうか。ぜひトヨタには、導入を再度検討して欲しいものだ。

トヨタ・プリウス PHEV(欧州仕様)のスペック

英国価格:−ポンド
全長:4599mm
全幅:1782mm
全高:1420mm
最高速度:177km/h
0-100km/h加速:6.8秒
燃費:143km/L
CO2排出量:16g/km
車両重量:1545kg
パワートレイン:直列4気筒1987cc自然吸気+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:13.6kWh
最高出力:223ps(システム総合)
最大トルク:19.3kg-m/5200rpm(内燃エンジン)
ギアボックス:e-CVT/前輪駆動

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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