ロータス・エキシージS
公開 : 2013.08.28 18:44 更新 : 2017.05.29 19:24
エンジンは、吸排気系と制御すべてをロータスがセットアップした。アクセルの踏みはじめから、微妙な加減に忠実にエンジンを反応させるキメ細やかさがある。雑味のないV6のエグゾーストサウンドも、もちろんロータス・チューンだ。走行パターンに応じてフラップを開閉し、なめらかさとダイナミックな特性とサウンドを切り替える。
エヴォーラで採用されたDPM(ダイナミックパフォーマンスマネージメント)は、さらに生来の能力を阻害しない方向でチューニングが進められた。詳しい説明は省くが、ブレーキアシスト、制動力自動配分、コーナーブレーキ、トルクコントロール、ブレーキによるデフロック、横滑り防止の統合制御に加えて、アンダーステア検知も加わっている。
走行モードは4種類が用意された。なめらかな走行特性を重視したツーリングモードはレブリミットを6800rpmに抑え、排気フラップも静粛性重視で閉じる方向性だ。スポーツ/レースとオフはいずれも7200rpmまで引っ張れる。400rpmの回転差は、各ギヤの最高速で10km/hほどの違いとなる。同時に、排気フラップが開くため、重厚かつダイナミックなV6サウンドが鳴り響く。
中高速コーナーが連なる箱根ターンパイクを試乗会場に選んだのは大正解といえる。0-100km/h加速が4.0秒、最高速度274km/hの動力性能だけでなく、100-0km/h制動を34.8m(2名乗車+荷物)でこなすブレーキも含めて超高速走行を得意とするエキシージSには、じつに最適な場だ。
けれど実際に走ってみると、路面に粘着するかのようにフロントがグリップして、微少ステアでコーナーに吸い込まれるようにノーズから入り込む痛快なハンドリング特性が心地いい。それでいて直進時の中立の確かさは、歴代ロータス随一である。
そんな安定性とグリップ力ゆえに、勢いアクセルペダルに込める力はさらに早く、強く、深くなる。強い駆動力を備え、踏み込めば安定性を増しながら速い旋回を可能にするミドシップの特性そのまま限界性能はとても高く、ドライバーは全身に強烈なGフォースを受けながら、“これぞロータス・ハンドリング”の世界に引き込まれていく。
機械過給の3.5ℓV6を搭載しても、GTカーの個性を展開するエヴォーラSに対して210kgも軽量なエキシージSは、ロータスらしいライトウェイトスポーツカーとしての資質を前面に出す。“走る・曲がる・止まる”のすべてが力強く、確実に速く強くなったことを実感させられるだろう。
大きくなったロータスなんて、とお嘆きの向きもあるかもしれない。しかし前後左右“上下”の重量バランス、それにトレッドとホイールベースが最適化されたためだろう、直4時代よりも旋回姿勢や安定性、人馬一体感などは断然上だと断言できる。そしてこれは、紛れもなくロータスだ。
サーキット走行を意識して開発されたモデルだけに、ステアリングはダイレクト感を重視している。駐車時など低速で大舵角を与える場面では、ズシリと重い操舵力に覚悟が必要だ。もちろん速度の上昇とともに適度な反力に軽減される。とはいえ全体的な反力は強いから、ドイツ製スポーツカーのように女性が気軽に、という個性とは違う。オトコがソノ気で乗る硬派なスポーツカーである。
(文・桂伸一 写真・花村英典)
ロータス・エキシージS
価格 | 850.0万円 |
0-100km/h | 4.0秒 |
最高速度 | 274km/h |
燃費 | 9.9km/ℓ |
CO₂排出量 | 236g/km |
車両重量 | 1180kg |
エンジン形式 | V6DOHC機械過給, 3456cc |
エンジン配置 | ミド横置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 350ps/7000rpm |
最大最大トルク | 40.8kg-m/4500rpm |
馬力荷重比 | 297ps/t |
比出力 | 101ps/ℓ |
圧縮比 | 10.8:1 |
変速機 | 6段M/T |
全長 | 4080mm |
全幅 | 1800mm |
全高 | 1130mm |
ホイールベース | 2370mm |
燃料タンク容量 | 40ℓ |
荷室容量 | 98ℓ |
サスペンション | (前)ダブルウィッシュボーン |
(後)ダブルウィッシュボーン | |
ブレーキ | (前)φ332mmVディスク |
(後)φ332mmVディスク | |
タイヤ | (前)205/45R17 |
(後)265/35R18 |