スズキ・スイフト

公開 : 2013.10.28 18:54  更新 : 2017.05.29 18:41

今回の試乗車として供されたのは最上級のXSのDJE。デュアルジェットエンジンは、少なくとも市街地で転がしている程度では、まったく普通に扱いやすく、そこそこトルキーな実用ユニットである。ただ、CVTはかなり攻めた制御=低回転優先になっている。スロットルを深く踏めばきちんとエンジン回転を上げるが、右足の力をわずかでも緩めた瞬間にストンと回転を落とす。市街地でおとなしい運転をしているかぎりは、2000rpmを上回ることはまずない。総じてエンブレが弱めなので、どうしてもブレーキペダルに足が伸びる頻度が増す。まあ、こういうクセは昨今のCVTに共通するもので、スイフトだけが特別ではない。ただ、これまでのスイフトのCVTが最近ではめずらしいドライバビリティ優先チューンだったので、どうしても落差が大きく感じてしまう。

シャシーの変更は表立ってアナウンスされなかったが、現行型の発売当初より乗り心地がよくなった気がするんですけど……と、担当エンジニア氏にきいてみたら、「ダンパーは少しイジりました」との答え。凸凹が連続するような路面で挙動が落ち着きにくい……との声を受けて、その領域のダンパー特性を手当てしたとか。「でも、そういう感じではないんですよね」と私。すると「たしかに単純に減衰を上げた下げた……という話ではないので、今回の試乗コースではほとんど変わらないでしょう」とエンジニア氏。

となれば、次に考えられる理由は車高である。デュアルジェット車は燃費(=空力)のために全高が10mmローダウンされている。「じゃあ車高ですかね」と私。しかし、それに対するエンジニア氏の回答は「わずかながら重心が下がっていますから、理屈としては操安や乗り心地によい影響は出ているでしょう。でも、スプリングを短くしているだけで、バネレートは変わっていませんから。それだけで乗り心地がハッキリと変わるとは……」とつれないものだった。

引っ込みがつかなくなった私は「でも、以前とは確実にちがいますよ。なんというか、スーッと滑らかになったというか、タイヤがよりしなやかに接地している感じっていうのかな」としつこく迫った。するとエンジニア氏がなにかを思い出したように「ああ、今回はアルミホイールを変更していますが、デザインと同時に1本あたり1kgほど軽くしました。主に燃費のためなんですが、バネ下が1kg軽くなると、さすがに走りにも影響が出ますね。たぶんそれです」と明かしてくれた。なるほど。ああスッキリした。

(文・佐野弘宗 写真・田中秀宣)

スズキスイフトXS-DJE(2WD)

価格 160.86万円
0-100km/h na
最高速度 na
燃費 26.4km/ℓ
CO₂排出量 88g/km
車両重量 1000kg
エンジン形式 直4DOHC, 1242cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
最高出力 91ps/6000rpm
最大最大トルク 12.0kg-m/4400rpm
馬力荷重比 91.0ps/t
比出力 73.3ps/ℓ
圧縮比 12.0:1
変速機 CVT
全長 3850mm
全幅 1695mm
全高 1500mm
ホイールベース 2430mm
燃料タンク容量 42ℓ
荷室容量 130-455ℓ
サスペンション (前)マクファーソン・ストラット
(後)トーションビーム
ブレーキ (前)Vディスク
(後)ディスク
タイヤ 185/55R16

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