スバルWRX STI tSタイプRA
公開 : 2013.08.26 19:11 更新 : 2017.05.29 18:42
今回も基本的にもう買えないクルマ……のご報告をしなければならない。今回“も”というのは、このクルマは本誌105号で掲載したS206に続く“WRX-STIをSTIがイジッたコンプリートカー”であり、なおかつ正式発表から数日で300台が売り切れたS206と同様に、このタイプRAも本原稿を書いている8月中旬時点ですでに完売しているからだ。まあ、今回は7月2日の発表から20日ほど経過した取材当時で40台ほど残っていたが、それでも今号の発売には間に合わず。ああやっぱり。
前作S206との大きな違いは、開発取りまとめ役があの辰巳さんから森宏志さんにかわったこと。そしてS206が標準STIがベースだったのに対して、今回のタイプRAはスペックCベースになったこと。
ベースのスペックCのエンジンがもともと専用ECUやボールベアリングターボでファインチューンされていることもあってか、今回はエンジンに手は入っていない。ベース車両も商品としての狙いもS206とは微妙に違うので、ボディもシャシーも改めて練り直されているが、自慢のフレキシブル系ボディ強化部品はフル装備。そしてこの、タイプRAの最大の特徴はステアリングギヤボックスだ。ノーマルの13:1から11:1という超速レシオに変更されており、ロックtoロックはわずか2回転強。この11:1というレシオはかつてのWRカーと同じという。
11:1というステアリングはけっこう鮮烈。体感的にはハッキリと操舵する前に……誤解を恐れずにいえば、いきたい方向に視線を移しただけでクルマが曲がりはじめる。運転スタイルにもよるが、Uターンやパーキング以外ではステアリングを持ち変える必要がない。さすがにこのクイックレシオだと、操作の微妙なブレにもクルマが明確に反応するので、街中でも気を抜いた曖昧な操作はご法度。ただ、それでも前輪だけが先走る神経質さがないのはたいしたものだ。フットワークもそれなりにズンドコという突きあげはあるが、、4輪がネトーッと吸いつくようなロードホールディングはちょっと異質。硬いことは硬いが、跳ねたり横っ飛びしたり、低ミュー路で予想外に滑ったりしないのが、なんかキツネにつままれた感じ。