2023年最新版 ロンドンULEZについて知っておくべきこと 大気汚染対策で一部車両に通行料金

公開 : 2023.10.10 18:05

・英首都ロンドンのULEZ(超低排出ガスゾーン)について最新情報まとめ。
・どのような施策なのか?対象となる区域、車両は?通行料金はいくら?
・古い車両の登録手続きや、ULEZに付随する廃車支援制度についても解説。

ロンドンの大気汚染対策 最新情報まとめ

英国の首都ロンドンでは、都市部の大気汚染対策として「ULEZ(超低排出ガスゾーン)」という規制区域が設定されている。エンジンを搭載する一部の車両は通行時に料金を支払わなければならないが、今年8月に対象区域が大幅に拡大された。

ULEZは2015年にボリス・ジョンソン前ロンドン市長によって提案され、2017年にサディク・カーン現市長によって導入された「Tチャージ」を引き継ぐ施策である。Tチャージは、ユーロ4の排出基準を満たさない車両でロンドン中心部の規制区域に乗り入れる際に10ポンドを徴収するものだった。

ロンドンでは一定の排ガス規制を満たさない車両に対して通行料金を課している。
ロンドンでは一定の排ガス規制を満たさない車両に対して通行料金を課している。

ULEZは2019年4月、Tチャージの後継施策として導入。料金は12.50ポンド(約2275円)に値上げされ、クリスマスを除き年中無休で24時間運用される。

2022年10月、毎月平均190万人がULEZ内を移動し、その収益は8か月間で9000万ポンド(約164億円)を超えることが明らかになった。

一方、ロンドン中心部ではさらに制限の厳しいゼロ・エミッション・ゾーンの導入が計画されていたが、今年8月のULEZ拡大を受けて見送られた。

ロンドンULEZの仕組みと対象区域

2021年10月25日、ULEZは北環状道路と南環状道路の境界線を含む地域に拡大された。

2023年8月29日にさらに拡大され、現在ではロンドンの各自治区、M25内の全エリア、そしてヒースロー空港を網羅している。

ジャンクションのULEZ標識
ジャンクションのULEZ標識

つまり、一部の古いクルマを運転するドライバーは、市内を走行したり、その他のさまざまな場所を訪れたりするために通行料金を支払う必要があるのだ。

ロンドンULEZでは現在、ジャンクションや市内の主要道路沿いに設置されたカメラ群を使用している。これらのカメラで自動的にナンバープレートを読み取り、データベースと照合することで、車両が排ガス基準に適合しているかどうかを特定する。

非適合車をULEZ内に乗り入れた場合、走行後3日目の午前0時までに12.50ポンドを支払う必要がある。例えば、月曜日の朝に通勤でULEZに入った場合、次の木曜日の午前0時までに支払わなければならない。

また、料金は通行予定日の90日前までに支払うこともできるほか、ゾーン内の移動については毎月自動で支払うように設定することもできる。

1年のうちでULEZが運用されないのはクリスマス(12月25日)のみ。それ以外の期間は1日24時間稼働している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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