ロンドン大気汚染対策に真っ向から反対 「不公正」な政治にNOを突きつける運動家を直撃
公開 : 2023.10.10 18:25
・英首都ロンドンで実施される大気汚染対策「ULEZ」の反対運動家へインタビュー。
・ドライバーに通行料金を課す政策は「不公正で非民主的、不必要」?
・ビジネスに悪影響及ぼすと批判、陰謀論的な主張も。
大気汚染対策への抗議運動
彼は “キャット・ハーダー “と呼ばれている。異なる方向に向かっている人々を、基本的には同じ目的を共有する者としてまとめる人物だ。
今年8月、超低排出ガスゾーン(ULEZ)が英首都ロンドン全域に拡大されるまでの数日間、フィル・エリオットさんは大規模な抗議活動を展開していた。
彼は、「不当で非民主的で不必要な政治的干渉に反対するため、英国中のできるだけ多くの人々を団結させる」ことを目的とするキャンペーン・グループ、UK Unitesの創設者である。そのメンバーは3000人に上る。
エリオットさんと初めて会ったのは、英サリー州ドーキング近くにあるライカスというカフェだった。そこはバイカーに人気のカフェで、わたし(筆者)はマシンを眺めながらコーヒーを楽しんでいた。
その日は驚いたことに、いつものバイカーの集まりではなく、何百人の群衆が古いロンドンバスの前に集まっていた。その理由はすぐにわかった。バスの側面には、「Stop ULEZ」、「Stop Khan(カーン市長を止めろ)」、「No 2 ULEZ」、「Our Roads, Our Freedom」といった横断幕や看板が掲げられていたのだ。
駐輪場周辺には、このような政治的スローガンで覆われたバンが12台並んでいた。そのうちの1台の屋根には現ロンドン市長を名指しする「Khan」と書かれた棺があり、棺の片側にはメッセージ付きのミサイルの絵が貼られている。「サディク・カーンとBBCへ、反ULEZグループより愛を込めて」
群衆を掻き立てるミーティング
バスの後方にいるグループが群衆に呼びかけた。その中には、リフォームUK党(旧称:ブレグジット党)のロンドン市長候補であるハワード・コックス氏の姿もあり、彼は集まったバイカーたちに、ロンドンを「世界で最もバイクに優しい都市」にすると宣言した。また、元自由民主党議員で現在はモーターサイクル・アクション・グループ(バイカーの権利団体)の広報担当者であるレンビット・エピック氏は、カーン市長とULEZ拡大への攻撃で群衆をさらに煽った。
「彼を止めるには、ここにいる何千人もの人々にかかっている」とエピック氏が言うと、群衆は再び賛同の声を上げた。バイクは2007年から施行されている排ガス規制ユーロ3に適合していなければ、ロンドン通行時に12.50ポンドが課される。乗用車のガソリン車は2005年から施行されているユーロ4以上、ディーゼル車は2015年以降のユーロ6以上を満たさなければならない。
スピーチの後、コックス氏がマイクを握り、安全ベストを着て並んで立っていた男性に感謝の言葉を述べた。「今日のミーティングと、それにつながるミーティングをM25の他の場所で企画した “リスキー “フィルに感謝したい」
“リスキー “フィルことフィル・エリオットさんは、その場にいた全員に「良い戦いを続けよう」と呼びかけ、バスを降りて群衆の中に消えた。
わたしは彼が、先ほど駐車場まで手を振ってくれたうちの1人だとわかった。市長志望者や元国会議員はさておき、エリオットさんは反ULEZ運動や、不満を持つドライバーやバイカーを代表して長年戦ってきた真の権力者だったのだろうか?