30台限定でオーダー受付中 Eレジェンド EL-1へ同乗 スポーツクワトロを電動で復刻

公開 : 2023.10.20 19:05

スポーツクワトロから着想を得た電動スーパーカー ツインモーターで815ps 0-100km/h加速2.9秒 試作車へ英国編集部が同乗

スポーツクワトロを電動パワートレインで復刻

スタートアップ企業には、目立った爪痕を残すことなく、ひっそり消えていく例も少なくない。自動車業界も生存競争は厳しい。

しかし、電動スーパーカーを仕上げつつあるドイツのEレジェンド社は、着実にその歩みを前に進めている。以前にAUTOCARでご紹介した、アウディ・スポーツクワトロから着想を得たという、「EL-1」をご記憶の方もいらっしゃるだろう。

Eレジェンド EL-1 プロトタイプ
Eレジェンド EL-1 プロトタイプ

このEL-1がお披露目されたのは、2021年のドイツ・ミュンヘン・モーターショーだった。それ以来、作業は水面下で淡々と進められてきた。カーボンファイバー製のボディ構造と、四輪駆動の電動パワートレインは、プロトタイプの段階まで進展している。

ミュンヘン近郊の飛行場で、第三者へ体験させられるレベルまで開発は届いたらしい。筆者に、特別な機会が巡ってきたのだから。

2021年にお伝えできたのは、スポーツクワトロをモダナイズした容姿のコンセプトカーだった。だが今回のプロトタイプは、その内側を構成する部分。ボディはまとっていないが、シルエットはご想像できると思う。

カーボンファイバー製のボディシェルは、かなりの高水準で仕上げられている。ダブルウイッシュボーン式のサスペンションと、駆動用モーターが搭載されたサブフレームが、中央の主要構造タブシャシーへ取り付けられている。

ツインモーターで815ps 0-100km/h加速2.9秒

Eレジェンド社は、この電動プラットフォームを利用し、グループB時代のラリーマシン・レプリカを数車種計画している。基本的な構造を活かしつつ、ルーフ周りの形状などを改め、ボディを載せ替えることで対応できるらしい。

ホイールベースは、リア・サブフレームの取り付け位置で調整可能。EL-1の2445mmが、最も短い設定になる。ちなみにこれは、オリジナルのスポーツクワトロより241mm長い。

Eレジェンド EL-1 プロトタイプ
Eレジェンド EL-1 プロトタイプ

駆動用モーターは前後に1基づつ搭載され、フロント側は272ps、リア側は543psを発揮し、システム総合での最高出力は815psもある。最大トルクは106.8kg-mと、有り余るほど。2年前の計画段階では、1+2の3基構成になると公表されていた。

駆動用バッテリーは80kWhで、フロントシートの間へ「T」型に搭載される。0-100km/h加速は2.9秒という俊足。0-200km/h加速も、7.5秒でこなすとか。

電動パワートレインの開発を主導するのは、ローディング社。その技術者、ギュンター・リードル氏によると、現在は611psへ最高出力が制限されているらしい。ちなみに彼は、ヴィーズマン・プロジェクト・サンダーボールのシステムにも関わっている。

プロトタイプでは、前後のトルク割合は35:65に固定されている。トラクション・コントロールは、開発段階で非実装。ディファレンシャル・ギアも、オープンだという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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