買えばよかった… フォルクスワーゲンUp!「年末に生産終了」と公式 愛されるコンパクトカー

公開 : 2023.10.13 06:05

・フォルクスワーゲンUp!の生産が「2023年第4四半期に終了」と公式声明。
・Up!は2011年発売、楽しくて痛快なコンパクトハッチバック。生産終了は早すぎる!
・後継車はEVの「ID.1」か。

公式声明:年内に生産終了 販売は在庫対応へ

フォルクスワーゲンは、小型ハッチバックのUp!の生産を2023年末に終了することを公式に認めた。欧州ではすでに販売を終了しつつある。

AUTOCAR英国編集部に寄せられた公式声明の中で、フォルクスワーゲンは「ブラチスラヴァのフォルクスワーゲン工場におけるUp!とe-Up!の生産は、第4四半期に終了します。そのため、(英国とドイツのウェブサイトでの)車両の個別設定はできなくなります。お客様は、お近くのフォルクスワーゲン正規販売店にお問い合わせの上、在庫のある設定済み車両に関する情報を得ることができます」と述べている。

フォルクスワーゲンUp! GTI
フォルクスワーゲンUp! GTI

フォルクスワーゲンUp!は、スロバキア・ブラチスラヴァ工場での生産活動がすでに終了したものと思われていたが、今年第4四半期まで続けられることが今回の発表により明らかになった。

Up!はフォルクスワーゲン・フォックスの後継車として2011年に発売されたAセグメント車。英国での販売価格は当初8256ポンド(約150万円)で、最も安価な乗用車の1つだったが、その後1万5000ポンド(約270万円)以上に上昇した。

12年の生産期間中、さまざまなパワートレインが搭載されてきた。発売当初は、最高出力60psまたは75psを発生する1.0L 3気筒ガソリンエンジンを設定。2016年のフェイスリフトでは、90psのターボチャージャー付きモデルが導入され、パワーアップが図られた。

EVのe-Up!は2014年に登場し、18.7kWhバッテリーで航続距離は134kmと謳われた。2019年からは32.2kWhの大型バッテリーが導入され、航続距離は256kmに伸び、ミニ・エレクトリック(クーパーE)やホンダeといった新しいライバルを上回った。

生産終了に先立ち、スポーティモデルのUp! GTIの販売が今年1月に終了している。GTIは最高出力115ps、スポーティなデザイン、6速MTを搭載して2018年に登場した。フォルクスワーゲンは当時、これは需要が供給を上回ったことによる一時的なものだとしたが、販売が再開されることはなかった。

Up!は、フォルクスワーゲン・グループのニュー・スモール・ファミリー(NSF)車シリーズの1つで、兄弟ブランドのセアト・ミーは2020年まで、スコダシティーゴは2021年まで販売された。

現在、フォルクスワーゲンが販売する最小のモデルはポロとなった。しかし昨年、CEOのトーマス・シェーファー氏は、ユーロ7排出ガス規制のためにポロが数年以内にラインナップから外される可能性を示唆しており、最終的にはEVのID.2に取って代わられる可能性がある。

Up!の後継車として、「ID.1」と呼ばれる小型EVが今後5年以内に導入される見込みである。価格は1万7000ポンド(約310万円)以下となるだろう。

記事に関わった人々

  • ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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