アウディS6アバント

公開 : 2014.10.29 23:50  更新 : 2017.05.29 18:15

伝統のクワトロ4WDシステムは、後輪に優先的に動力を伝えるが、フロントホイールに対する追従性は素早く、急な転舵を与えてやると後ろ側がぬるぬると滑り始める。

後輪のそれぞれに伝達するパワーを意図的に変える、いわゆるスポーツ・ディファレンシャルももちろんキャリーオーバーされており、このおかげで低いギアでプッシュしながらコーナーを脱出するようなシチュエーションでも、機敏な身のこなしを実現している。

7速時の変速比はロングな仕立ての0.519。最終的な減速比は4.09となるおかげで、高速巡航時には終始リラックスした心持ちで運転することが可能だ。

スピーカーからメカニカルノイズと逆位相の音を発生させることによりキャビンの静粛性を保つはたらきをするアクティブ・ノイズ・キャンセレーションの助けもあって、速いペースで走行する際も驚くほど静かだ。

マイナスポイントを挙げるとしたら、記憶に深く刻まれるほどのシャープネスに欠ける部分。確かにコーナーでは素晴らしいグリップとともにフラットに走り抜けることができるのだけれど、ドライバーに訴えかけるような一体感がない。

なかでもダイナミック・モード時でさえも、ステアリングの中立付近のレスポンスが甘い点は大きな問題といえる。重いクルマであることを少しでも包み隠しておきたいのであれば改善は急務ではないだろうか。

しかしこの点を除いては、最新のS6もまた、発進と停止を繰り返すようなシチュエーションでも楽に付き合っていけると感じた。特にローエンドの安楽さと、炸裂感は、ワゴン車のなかで稀な例である。

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