マツダRX-500(1970年)

一見、RX-500はアルファ・ロメオ・カラボと同じ経緯でデザインされたように見える。ウェッジシェイプ(カラボほど極端ではないが)、ミドマウントエンジン(ツインローター)、バタフライスイングドア、ガルウィングのエンジンカバーを備えている。

まさしく「スーパーカー」と呼ぶにふさわしい風体だが、実際にはマツダの安全性研究のショーケースとして開発されたものだった。RX-500のリアエンドには緑や黄などさまざまな色のライトが並んでいるが、これは加速しているのか、速度を維持しているのか、あるいは減速しているのかを後続車に知らせるためのデザインだ。

マツダRX-500(1970年)
マツダRX-500(1970年)

日産126X(1970年)

マツダRX-500と同様、特殊なリアライトを装備した日産126X。1970年に登場したもう1つのウェッジシェイプ・コンセプトカーである(当時はその手のものが多かった)。

そのフォルムは、マツダやアルファ・ロメオ・カラボに比べると、スーパーカーらしさはやや薄れているが、ある意味ではさらに奇抜なものだった。ルーフ、ウィンドスクリーン、フロントボディパネルで構成された、フロントヒンジで開閉するキャノピーから乗降するという点で、日産は他社より一歩先を行っていた。

日産126X(1970年)
日産126X(1970年)

フォード・シーラス(1972年)

フォード・シーラス(Cirrus)はファストバックだが、単に小型セダンのエスコートRS1600のコスワースBDAエンジン搭載の高性能バージョンだった。

このデザインは、英国馬車自動車工業会が主催し、英デイリー・テレグラフ紙が推進したカーデザイン・コンペティションの入賞作をベースにしている。後に判明したことだが、入賞者はクライスラーで働くプロのデザイナーだった。

フォード・シーラス(1972年)
フォード・シーラス(1972年)

ボルボVESC(1972年)

スウェーデンのボルボが1972年のジュネーブ・モーターショーでVESCを発表したころには、自動車の安全性へのこだわりはすでに有名だった。多数のエアバッグ、自動展開式ヘッドレスト、アンチロック・ブレーキ、自動燃料供給カットオフ、一体型ロールケージ、音響式後退警告、前面衝突時に前方に引き込まれるステアリング・ホイールなど、当時としては珍しかったが今ではごく一般的な装備が満載されている。

スタイリングはやや攻めているが、若干トーンダウンした形で1974年にボルボ200シリーズとして発売された。

ボルボVESC(1972年)
ボルボVESC(1972年)

アルファ・ロメオ・ニューヨーク・タクシー(1976年)

ニューヨーク近代美術館が提示した課題に対するイタルデザインの回答は、全長わずか4mながら5人乗りで、座席の下には折りたたみ式の車椅子が収まるスペースを備えたタクシーである。さらに実用性を高めるため、1976年当時としては非常に珍しい両側スライドドアを採用した。

量産化されるまえにプロジェクトが中止され、アルファ・ロメオとニューヨークのタクシーは縁を絶たれてしまった。興味深いコンセプトだっただけに残念だ。

アルファ・ロメオ・ニューヨーク・タクシー(1976年)
アルファ・ロメオ・ニューヨーク・タクシー(1976年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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