text & photo:Kentaro Nakagomi (中込健太郎)
日本クラシックカー協会(JCCA)主催のこのイベント、すっかり秋の恒例行事の感がある。エンデュランス筑波ミーティングの名のとおり、ドライバー交替が組み込まれた、懐かしい名車たちによる60分耐久レースをメインとするイベントながら、ヒストリック・フォーミュラはじめ、P、S、F、TSカップと、カテゴライズされたスプリントレースや、レース以外にも筑波サーキットを懐かしい名車を思い思いに走らせるスポーツ走行、何よりそれらが集う筑波サーキットのパドックを歩くだけでも、車好きはもちろん、そうでない人たちが見てもきっと心が躍るかのような心地に浸れるのではないだろうか。
最近「クルマに興味を持ってもらおう」「もっと多くの人に知ってもらおう」というクルマのイベントは多い。そういうものと比べると、このイベント自体は自動車愛好家のベテランや競技歴の長いエントラントが多いのではないだろうか。しかし、だからこそ、何かに迎合することなく、真っ直ぐにクルマを愛し、真剣に見守る眼差しに出会えるそんなイベントのように感じた。
だからこそ、歳月を超えてすこぶる元気に走るマシンを目の当たりにしたギャラリーは大いに各レース、引き込まれるように見入っていた。
ノーマル・カーによるPレース。
ポール・トゥー・ウィンは1972年のフェアレディZ240ZG。
3位のポルシェ914-6も、イメージを覆す走りを見せた。
Sレースはチューニング・カーのレース。26台がエントリーした。
このレースでは、いすゞ・ベレットが二位に入る健闘を見せた。
ポルシェ大活躍のSレース、優勝の911・3.0、ベストは一周1分6秒台。
TSカップはB310サニーとKP61スターレットによるレース。今回は表彰台をサニーが独占した。
今回は残念ながらいいところが見せられなかったスターレット。ぜひ次回の活躍に期待したい。
ヒストリックフォーミュラは、スポイラーを持たない葉巻型フォーミュラによって戦われる。
まるで時が止まったかのようなサーキットにギャラリーは釘付けになった。
カーナンバー8のテクノは2位に入り表彰台のロータス独占を阻止した。
優勝したのは服部浩臣選手が乗る24号車ロータス41C。1968年のマシンだ。
残念ながらコースアウトするマシンも。
ほかのレースの時間はパドックでマシンのチェックに余念がない。
最後に決勝が行われたフルチューニング車のFレース。既に西日である。
その既に前時代的なフォルムには懐かしさすら覚える。
ミニの素性の良さは観戦しているだけでもわかるほど。結局2位になった。
このようなホットな走りもちらほら。優勝したのはこのスピードマスターFFDコミネセリカ。
60分間を二名のドライバー走る、このミーティングでのメインイベント。1975年以前の車で競われた。
後半ともなると、焦りと、緊張のせいかややテールが流れるマシンも続出。GT-Rも熱い走りを見せた。
結局今回は510ブルーバードが表彰台を独占。一位はSSSクーペの18号車。
2位は47号車。スポーティセダンの原点を見せつけた。
3位の24号車、911にも容赦しない走りで、思わず手に汗した。
大きな事故はなかったものの、クラッシュも。旧車とはいえ容赦ない。
グループ・ロータス・ジャパン・レーシングによる走行会も。
左ハンドルの510は1600cc仕様。綺麗なボディも手伝って、異彩を放っていた。
往年の高性能車セドリックスペシャル6も筑波サーキットを堪能。
この光景を維持すること。それが旧車を保存することなのかも知れない。
TE27レビンはこの時代ならではのカラーリング。
軽量でファンの多いチェリー。出会えたことに感謝、の一台。
TSカップのみならず走行会でもスターレットは人気。
国産車か、輸入車か。そういう問題ではない独特の雰囲気がこのイベントの魅力。
パドックでの整備も手馴れたもの。多くの人の情熱がこのハコスカの原動力。
ボンネットを支える竹刀。既成概念ではなく、創意工夫が肝心、ちょいうことか。
各レースの間でほぼサーキットは封鎖される。それは漏れたオイルの処理のため。
フォーミュラのみならず、市販車のみならず。見ているだけで楽しいというのはこういう点。
早めに家路に着く参加者も。しかし、S800はレガシイで牽引。
フリーマーケットにはついつい財布の紐が緩んでしまいそうなものが多数。
秋晴れの下、西に陽が落ちるまで、盛り沢山な一日となった。