ソフトウエアが次なる主戦場 BMW i5 eドライブ40へ試乗 エンジンかモーターを選べる新5シリーズ(1)

公開 : 2023.10.22 19:05

新世代で電動パワートレイン獲得 内燃エンジン版と並行販売 従来的な5シリーズのように扱える ポルトガルで英国編集部が試乗

電動パワートレインも選べる新型5シリーズ

また新たな時代がスタートする。スペイン・リスボンに建つビルの地下駐車場で開かれたプレゼンテーションで、BMW i5が発表された。ドイツ・ミュンヘンのエグゼクティブ・サルーンも、遂にバッテリーEVになる時が来た。

同社の開発責任者、フランク・ウェバー氏が登壇し、両親が所有していたE12型5シリーズの思い出を冒頭で振り返る。そして7世代を経た2023年に誕生した、電動パワートレインを採用する新型i5の説明を始める。

BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)
BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)

8代目5シリーズはG60型のコードネームを持ち、全長は5mを超える。数世代前のBMW 7シリーズより長い。航続距離は最長で574km。提供価格も、訴求力のあるものになるという。

ウェバーが詳細を掘り進める。G60型5シリーズは、ガソリンエンジンのマイルド・ハイブリッド、520iから、バッテリーEVのi5、プラグイン・ハイブリッドになる700馬力オーバーのM5まで、多様に展開される。

いずれも、先代5シリーズもベースとしたCLARプラットフォームを基礎骨格にする。新世代はホイールベースが20mm伸ばされ、サスペンションの取付部分に調整が加えられた。だが、基本的な部分はキャリーオーバーだ。この辺りは、事前情報で知っていた。

BMWとしてバッテリーEVが必要だからという理由で、既存ユーザーへ馴染みのないモデルを強要するつもりはないと、ウェバーが幅広いラインナップの正当性を訴える。内燃エンジンから電気モーターまで、個々に適したパワートレインが提供される。

M5は2024年発表予定 ディーゼルは英国非導入

英国には、シングルモーターのi5 eドライブ40やツインモーターのM60 xドライブと同時に、ガソリンエンジンの520i Mスポーツやプラグイン・ハイブリッドの550e xドライブもやってくる。新しい7シリーズのように。

ただし、ディーゼルエンジンはもう購入できない。恐らく、グレートブリテン島では永久的に。それでも、2024年に発表予定のM5は導入されるようだ。

BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)
BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)

クラス最高の操縦性を誇ってきたエグゼクティブ・サルーンが、どのようなメカニズム的進化を遂げたのか、筆者最大の関心はそこにある。ところがウェバーは、無線アップデートへ対応する自社の車両が、世界最大規模の500万台に達したことへ話題を移す。

続けて、BMWで最も利用されているインフォテインメント・システムの機能が、カーナビと電話、エンターテインメントだと解説する。美しくカーブを描く、インフォテインメント用タッチモニターで稼働するOSが、バージョン8.5であることにも触れる。

そして、ソフトウエア開発に関わる合弁事業をBMWが立ち上げたと、誇らしげにアピールする。拠点は、発表会が開かれたリスボンのこのビルと、ポルトガル・ポルトに置かれるそうだ。

2000人の技術者を迎え入れることが可能で、インターフェイスやデジタル・プレミアム・モビリティ・ソリューションの開発に関わるという。このソフトウエアに関する説明が、さらに続く。

ステアリングのことに、話題は展開しない。ドイツで磨き込まれるシャシー技術にも、触れる様子はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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