サイズも印象も7シリーズへ接近 BMW i5 eドライブ40へ試乗 エンジンかモーターを選べる新5シリーズ(2)

公開 : 2023.10.22 19:06

従来のような一体感までは得られていない

プラットフォームへ加えられた補強が、この印象を叶えている。i5では、フロント・サブフレームやサスペンション回りを強化。強固な駆動用バッテリー・シェルを活かし、リアのサブフレームはフロアパン側へ固定されてもいる。

とはいえ、ドライバーズカーとして評価すると、従来のような一体感までは得られていない。ボディは大きく重く、速度域が増してもひと回り縮んで感じることはなさそうだ。

BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)
BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)

アクティブ・アンチロールバーに後輪操舵、ブレーキによるトルクベクタリング、アダプティブダンパーなどの電子システムが、この質量を抑え込んでいる。コーナリング時の舞台裏は、大忙しに違いない。

ステアリングホイールには、ある程度の感触が伝わってくる。だが、大きな質量へ対応させるため、アシスト量は必然的に大きくなる。その過程で、明瞭さが若干失われている。フィードバックは、少し人工的に思えた。

EQEへ勝るインテリアの訴求力

インテリアデザインも、高級感では届いていないが、i7と似ている。ダッシュボードの中央部分は、ドライバーの方へ角度が付けられている。空間にはゆとりがあり、知覚品質は高い。訴求力では、メルセデス・ベンツEQEへ勝っていると思う。

ダッシュボードには、ドアパネル側まで続く「インタラクションバー」と呼ばれるアンビエントライトが仕込まれている。ここにはタッチセンサーも内蔵され、エアコンやパワーシートのインターフェイスにもなっている。

BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)
BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)

細かな機能は、タッチモニターを介して操作することになるが、センターコンソール上にはロータリーダイヤルも残されている。全体的な使い勝手は良好だった。

もちろん、リアシートはi7より狭い。前後長には充分な余裕があるものの、広大なわけではない。それでも、EQEよりは広いようだ。

内燃エンジン版とプラットフォームを共有するデメリットといえるのが、バッテリーEVには不要な、トランスミッショントンネルがキャビンの中央を貫いていること。中央の席は、従来どおり座りにくい。

i7より日常的に乗りやすいサイズで、お手頃な価格で、魅力的な運転体験をご希望なら、i5は期待通りのBMWになるだろう。一方で、従来的な5シリーズのバッテリーEV版をお望みなら、少し成長しすぎた印象を受けるかもしれない。

BMW i5 eドライブ40(欧州仕様)のスペック

英国価格:8万305ポンド(約1453万円)
全長:5060mm
全幅:1900mm
全高:1515mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:6.0秒
航続距離:502-574km
電費:5.3-6.1km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2130kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:81.2kWh
最高出力:340ps/8000rpm
最大トルク:40.8kg-m/0-5000rpm
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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