小型廉価な次世代EV シトロエン 新型「e-C3」10月17日初公開へ 新興ブランド勢に反撃の狼煙

公開 : 2023.10.16 18:05

・シトロエンが新型e-C3を10月17日に発表予定。
・C3のEV版だが、デザインは「OLI」コンセプトがベースか。
・約2万5000ユーロと比較的安価な設定でシェア獲得目指す。

C3のEV版 大胆デザイン採用

フランスの自動車メーカーであるシトロエンは、10月17日に新型EVのe-C3を発表する予定だ。Bセグメントの小型ハッチバックで、電動化が進む欧州向けに投入される見込み。

詳細は不明だが、AUTOCARが入手した情報によれば、新型e-C3の欧州価格は約2万5000ユーロ(約390万円)になると見込まれる。これは同クラスのEVとしては比較的安価な設定と言える。

シトロエンC3はOLIコンセプトをベースとするようだ。(編集部作成予想CGイメージ)
シトロエンC3はOLIコンセプトをベースとするようだ。(編集部作成予想CGイメージ)    AUTOCAR

ソーシャルメディアに投稿された予告映像を見ると、そのスタイリングは昨年公開された「OLI」コンセプトによく似ており、特徴的なLEDライトなどが引き継がれているようだ。

シトロエンは6月、新型e-C3は「BEVネイティブ」なプラットフォームを採用し、エアコンや電動ウィンドウなどを「フル装備」すると発表した。航続距離は300km以上とされるが、技術的な詳細についてはまだ明かされていない。

現行の内燃エンジン搭載のC3と同等サイズで、昨年インドとラテンアメリカで導入された「CC21型」と強い関係を持つ。

シトロエンによると、C3の発売以来、その販売台数は550万台を突破しているという。今後はさらなる世界的拡大を目指している。

シトロエンのティエリー・コスカスCEO(ステランティス・グループ全体の販売・マーケティング責任者でもある)は、新型C3は大きく3段階のレベルに分けられ、それぞれ最大5種類のオプションが設定されると述べた。シンプルなラインナップにまとめることで販売を促進し、またスロバキアにある工場での生産システムも合理化できるという。

販売価格については、値引き交渉を減らすために透明性を確保するとのことだが、コスカス氏は価格が「凍結されることはない」とし、値引きの余地はあると示唆した。同氏は、価格を相場に近い水準に維持することは「規律の問題」だとしている。(チャーリー・マーティン)

「廉価」なEVをリードするシトロエン

近年懸念されているのは、欧州の自動車メーカーが高価なEVの製造に集中しているところへ、ライバル(主に中国製)がまず低価格のEV市場を確保し、その後、高級車市場に進出するのではないか、ということである。

そんな中でシトロエンは反撃の狼煙を上げたわけだが、それが今年10月にも始まるというのはむしろ驚きだ。

シトロエンOLIコンセプト
シトロエンOLIコンセプト    シトロエン

近日発売予定のe-C3は、手頃な価格の欧州製EVで、ルノー・ゾエのようなごく一部の欧州製小型EVのラインナップを補強することになるだろう。

現代の自動車市場において、シトロエンの新しいマーケティング「キック」の先陣を切るのにこれほど理想的な動きはないだろうし、それこそ同社が意図するところでもある。

1948年から製造された伝説的な2CVの生みの親も誇りに思うだろう。(スティーブ・クロプリー英国編集長)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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