ジープ・チェロキー・リミテッド 2.0JTDm-2 170 4×4
公開 : 2014.10.30 23:50 更新 : 2017.05.29 18:34
ブレーキ・ペダルを踏めば、ハンドルを右に移植した際にブレーキ・マスターが左側に置いてけぼりにされたことが明らかに伺える。マスターとペダルはスチール製の棒でバルクヘッドを横断するように接続されるため、ペダルをリリースすれば毎度毎度ドサッと感触が伝わってくる。シューッというサーボの音やジャダーまで、聞きたくなくとも耳に届く。
プレミアムブランドならば細心の注意を払うであろうディテールさえも、’ヒース・ロビンソン’ の挿絵のように、危なっかしさが残っているのだ。これに関しては同グループの、2ペダル、右ハンドル仕様のフィアット500も同様だ。
9速トランスミッションのお陰で高速巡航時の経済性は改善されているのだが、チェロキーのパフォーマンスとの相性はまったく良くない。スタート-ストップ・システムのオンオフは鈍いし、キックダウンも遅い。マニュアル・モードの反応には時差があるし、Dモードでのギアの選択にも常に迷いがある。急いでいるときなども淡々と上のギアまであげていくため、もう少し上まで引っ張ってくれ!と言いたくなるような歯痒いシチュエーションが目立った。
先述のブレーキを踏んで静止している状態でも、ドライブラインは完全に切り離されていないと感じるし、常にドライブシャフトにはわずかながらの緊張が残っており、クランクが1周するたびにボディは小刻みに振動する。
また、動力上の欠点は安い価格のグレードと共通。ステアリングは重苦しく、歓迎しがたいフリクションが常に付き纏う。操舵に対する反応は優秀だが、感覚は必要以上に柔らかく直感性に欠ける。乗り心地に関しては静かだけれど、初期のボディの動きが大きく、リバウンドの吸収は乏しい。20年前の4×4の方がまだ良いか、あるいは同程度といったところだろうか。