実はミニバン辞めました 新型ルノー・エスパスへ試乗 200psのハイブリッド 快適な走り心地

公開 : 2023.10.25 19:05

英国や日本へ正規導入されないエスパス 6代目ではハイブリッドのSUVへ一新 好印象なスタイリングとインテリア 快適な走り心地 英国編集部が評価

6代目は7シーターのファミリーSUV

ミニバンのエスパスが欧州市場へ投入されてから、40年が経過する。その間にユーザーの嗜好は変化し、クロスオーバーやSUVが台頭。エスパスも姿を変えてしまったが、その名はしっかり残されている。

英国市場には5代目以降上陸していないが、新しい6代目もディーラーの店頭へ並ぶことはないようだ。遡ること2012年、ルノーは採算の悪いモデルを一気に引き上げてしまった。モデュス、ラグナなどと並んで、そこにはエスパスも含まれていた。

ルノー・エスパス E-テック200 アイコニック(欧州仕様)
ルノー・エスパス E-テック200 アイコニック(欧州仕様)

6代目は、ルノー・オーストラルよりひと回り大きい、7シーターのファミリーSUVになった。日産エクストレイルのライバルといっていい。基礎骨格はCMF-CDアーキテクチャで、全長4722mm、全幅1843mm、全高1645mmと、立派な体格を持つ。

オーストラルより約210mm長いが、ホイールベースとリアのオーバーハングへ充てがわれ、実用性を高めている。新型のトピックとなるのが、車重が215kgも先代から軽くなったこと。それでも1698kgあるが、近年の増加傾向を踏まえれば歓迎できる事実だ。

全高は5代目より約150mmも縮んでいるものの、新しいアーキテクチャの恩恵で、車内空間は広くなっている。7シーターの他に5シーター版も選択でき、2列目と3列目はフラットに折り畳める。荷室は、最大で1818Lまで拡大できる。

ボディも内装も好印象 快適な走り心地

スタイリングは、比較的シンプルでスマート。近年のルノーの特徴が、大きなボディへ巧みに反映されている。写真で見る印象以上に存在感があると思う。だが、キアEV9やヒョンデ・サンタフェなど、韓国ブランドのような大胆さまではないだろう。

インテリアのデザインも、オーストラルのように好印象。内装の素材は高水準で、知覚品質も素晴らしい。らしく、ガッチリとした堅牢さも漂わせている。

ルノー・エスパス E-テック200 アイコニック(欧州仕様)
ルノー・エスパス E-テック200 アイコニック(欧州仕様)

インフォテインメント・システムも、オーストラルと同一。ダッシュボードの中央へ、縦に長い12.0インチのタッチモニターが据えられ、ドライバーの正面には12.3インチのメーター用モニターが配される。表示は鮮やかで、機能性も良い。

好ましい印象は、実際の走り味にも通じる。試乗したのはデンマークの滑らかな路面の一般道だったが、とても快適に感じられた。

リアシート側の空間にもゆとりがあり、開放的で、長距離移動でも不満は出ないだろう。乗り心地もしなやかだ。英国のように、傷んだアスファルトでの印象は確かめられていないけれど。

オーストラルが実装する後輪操舵システムが、エスパスにも備わる。ボディが大きいだけに効果は明らかで、市街地での取り回しは想像以上に容易だった。ステアリング操作に対する反応も、自然で予想しやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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