ロゴを隠せば中国製と推測困難 ニオET5 ツーリングへ試乗 欧州で開発されたEV 490psで560km

公開 : 2023.11.02 19:05

洗練されたパワートレインは最大の強み

ET5は、四輪駆動が標準。フロントに203psの誘導非同期モーターが、リアに286psの永久磁石同期モーターが搭載される。

駆動用バッテリーの容量は、グロスで75kWhか100kWhを選択できる。試乗車には後者が搭載されており、カタログ上の航続距離は560km。今回の試乗では、出発時に519kmが予測されていた。

ニオET5 ツーリング 100KWH(欧州仕様)
ニオET5 ツーリング 100KWH(欧州仕様)

急速充電能力は最大で125kW。高速な部類には入らないものの、ニオはバッテリー・ユニットを丸ごと交換するシステムを採用している。

専用のサービスステーションへET5を持ち込めば、フル充電された駆動用バッテリーへ4分ほどで交換してもらえる。英国にも、その設備が用意されるはずだ。

システム総合での最高出力は490ps。フル加速時は、圧倒されるほどではないものの、不足なく鋭い。アクセルペダルの角度に合わせて、求めたパワーを必要なだけ生み出す扱いやすさを備えている。

このパワートレインの洗練性は、ET5で最大のストロングポイントになるだろう。乗り心地も感心するほどしなやか。低速域でも高速域でも、終始快適だった。

操縦性も好印象。運転の楽しさを追求し、ドライバーへ興奮を誘うというより、落ち着いて確実に路面を掴み続けるタイプといえる。目立った個性があるわけではないが、特段気になる部分もない。

高度な運転支援システムを実装し、頻繁に警告音が鳴るのは煩わしく感じた。

ロゴを隠したら中国製だと推測が難しい

ニオET5 ツーリングは、注目すべき中国ブランドの、注目に値する新モデルといえる。欧州のプレミアム・ステーションワゴンに並ぶ、好ましい印象を筆者は受けた。丸いロゴを隠して乗ったら、中国製だと推測することは難しいかもしれない。

見た目も中身も、その水準は低くない。i4やモデル3の新たな好敵手になる可能性もゼロではない。

ニオET5 ツーリング 100KWH(欧州仕様)
ニオET5 ツーリング 100KWH(欧州仕様)

◯:快適な乗り心地 適度に余裕のある動力性能 クリーンで落ち着いたインテリア
△:煩わしく感じる運転支援システム 若干曖昧なステアリング

ニオET5 ツーリング 100KWH(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万5000ポンド(約814万円/予想)
全長:4790mm
全幅:1960mm
全高:1500mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:4.0秒
航続距離:560km
電費:5.1km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2310kg
パワートレイン:誘導非同期モーター+永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:90kWh(実容量)
急速充電能力:125kW(DC)
最高出力:490ps
最大トルク:71.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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