ボルボV40クロスカントリー
公開 : 2013.05.26 16:09 更新 : 2017.05.29 19:09
まずはモデル名にご注目を。XC40ではない、というところが、このクルマに関してはひとつのキモ。あくまでV40。XC70みたいなほっこりした乗りアジにしようとはしていない。クロスカントリーを名のるからには未舗装路での走行テストもちゃんとやってあるけれど、SUVっぽいのは主に見た目関係。フツーのV40と較べて着座位置が30mmも高いので、周囲の眺めもちょっと違う。気分的に。
日本仕様のエンジンに2.0ℓ直列5気筒直噴ガソリン+ターボ(トランスミッションはトルコン+プラネタリー6段A/T)が選ばれたココロは、おそらくというかフツーに考えてヨンク優先。現状、AWDとの組み合わせがあるのはこれだけなのだろう。ヨンク部分は例によってハルデックス。電子制御油圧多板クラッチを使ったトルクスプリット型。
アシのカタさの感じは、Rデザインといわれたらそのまま信じるぐらいフンワリのハンタイ。少なくとも素のV40とはちょっと別モノ級にフンワリのハンタイ。でも骨格のガッチリ度はV40なので、乗り心地はバッドではない。けどやっぱりカタい。
こういうクルマなので、「ホンの少ーしだけプラッシュにしてある」とエンジニア。プラッシュに。直訳すると、ビロードっぽく。そう聞いてから乗って、「いわれればそうかも」。でも、そのプラッシュ感は主にタイヤのハイトが高いことによっているのではないかという気もした。
エンジン。T4と較べると、いまのダウンサイジング系物件ぽくない。ちょっと前のターボエンジンぽい。過給がガッツリ効いているときとそうでないときのギャップが比較的ハッキリあるタイプ。T4にあと1気筒足したのがこれ、というイメージで乗るとちょっと違う(そもそもボア×ストも違ってこちらはショートストローク型)。ターボっぽくて、こういうのが好き。な人もいるでしょう。
もっとキョリが進んだらまた印象が違って……の可能性もあるけれど。大人の男3人乗車だとちょっと。苦しいというほどではないにしても、たとえば登坂路で低回転からギヤホールドでヨユーの加速、という感じではあまり。トランスミッションの変速の仕事がまったく気にならなかったというとウソになるのは、主にそのエンジンのトルク特性によるものではあるまいか。なお、男2名をおろして1人で運転してみたところ、印象はけっこう好転。
曲がるのが大好きなタイプではあまりなさそう。ちょっとガンコに真っ直ぐいきたがるのがヨンクらしくてよい、という人もいるでしょう。ただしシャシーの基礎体力は、V40なので貧弱ではない。それに、5気筒ターボでトルコンオートマでさらにヨンクでもまだ1580kg。ちょっと重たいV40。でも、舵感はちょっとバネっぽくなっていたような。
(文・森 慶太 写真・花村英典)