プジョー408 詳細データテスト 斬新なスタイル 予想外に良好なハンドリング 乗り心地はやや過敏

公開 : 2023.10.21 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

2021年、16ものブランドを含むステランティスが設立されて以来、エンジニアリング合理化の規模はかなりのものになった。408もその一環で、EMP2 V3プラットフォームはDS4やシトロエンC5X、はたまた同じプジョーで格下の308とも共用する。

ということは、エンジン単体からマイルドハイブリッド、PHEV、そしてBEVまで対応できるわけだ。とはいえ、現時点では3気筒ガソリンのピュアテックと、2機種のPHEVのみの設定。年内には、マイルドハイブリッドやBEVも上陸するとみられる。

現時点ではガソリンユニット1機種と、PHEV2機種のラインナップ。近いうちに、マイルドハイブリッドやBEVも追加される見込みだ。
現時点ではガソリンユニット1機種と、PHEV2機種のラインナップ。近いうちに、マイルドハイブリッドやBEVも追加される見込みだ。    JACK HARRISON

今回のハイブリッド180 e-EAT8は、PHEVのパワーが低いほうで、1598ccターボガソリンと電気モーターで180psを発生する。モーターは、エンジンとトランスミッションの間に設置。最上位のハイブリッド225も同様のメカニズムだが、システム最高出力が225psに引き上げられる。

いずれも前輪駆動で、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。コイルスプリングとパッシブダンパーを組み合わせる。これが、クラスも形状も近いC5Xとの重要な違いだ。シトロエンは油圧バンプストッパーと、PHEVにはカメラを用いるアダプティブダンパーを採用し、乗り心地向上を図っている。

動力用バッテリーの容量は12.4kWhで、荷室の床下に搭載される。公称の航続距離は64km、モーターのみでの出力は111ps。充電は最大7.4kWに対応する。

ボディの存在感は大きいが、全長は508SWより短く、BMW3シリーズの現行セダンよりほんのわずか長い程度。ボディパネルのシャープな折り目は、張り出したフェンダーやホイールアーチのクラッディングと相まって、このクルマの見誤ることない個性を演出する。もちろん、シルエットも独特で、508ではトーンダウンしたフロントの牙のようなLEDが、408では強調されている。

あまりないくらいテーパーのかかったガラスハウスも特徴的。切り立ったテールエンドと小ぶりなスポイラー、キラキラしたLEDテールライトも含め、408のルックスは際立ったものとなっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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