プジョー408 詳細データテスト 斬新なスタイル 予想外に良好なハンドリング 乗り心地はやや過敏

公開 : 2023.10.21 20:25  更新 : 2024.02.16 23:41

走り ★★★★★★☆☆☆☆

408のラインアップには、まだ508にあるようなプジョー・スポーツ・エンジニアリング仕様がない。そのため、もっとも速いバージョンは0-100km/hの公称タイムが7.8秒のハイブリッド225だ。今回のハイブリッド180は8.1秒だが、われわれが計測した0-97km/hタイムは8.2秒だった。まずまずのタイムだが、この速そうな見た目のクルマとしては特筆するほどではない。

48−113km/hのキックダウン加速は7.3秒で、これもそれほど速くはない。とはいえ、130psの3気筒のみを積むエントリーモデルのピュアテックとは異なり、オーバーテイクの妨げになるほど遅くもない。

トランスミッションやブレーキフィールなどに改善の余地もあるが、動力性能はまずまず。EV走行も洗練されているが、航続距離がもう少しあれば申し分ない。
トランスミッションやブレーキフィールなどに改善の余地もあるが、動力性能はまずまず。EV走行も洗練されているが、航続距離がもう少しあれば申し分ない。    JACK HARRISON

公道上における408のパフォーマンスは、おそらく客観的な数字より性格のほうが重要だろう。また、デフォルトのハイブリッドモードであれば、おおむねいい感じだ。8速ギアボックスがときどきギア選択でバタついたり、クルマの頭脳が予期しないエンジンとモーターのコンビネーションをもたらしたりすることもある。

しかし、全体的に見ると、走り出しはまずモーターが太いトルクを発生して、満足できるキレのいいレスポンスをみせる。エンジンがそれに加わるにつれ、加速はまずまずよく持続する。

スポーツモードを選ぶ必然性は薄い。シフトパドルを使いたいと思うことはおそらくない。かなり薄っぺらい感触で、フィールはパッとしない。トランスミッションが、手動操作に対して反応する時間も長い。

PHEVなので、408ハイブリッド180はEVとしても走行できる。また、ハイブリッドとスポーツの両モードでしか使えないが、回生ブレーキを強めるBモードも備える。111psのモーターに多くを望まなければ、EVとしての機能も、実測1746kgのクルマの割には上々だ。走りはスムースで洗練されたもの。フル充電で48〜64kmくらいは走れる。

ただし、航続距離が100km近くあれば、PHEVとしてもっと魅力的な提案になるだろう。フワフワしたブレーキのペダルフィールもどうにかすれば、さらに状況はよくなるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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