プジョー408 詳細データテスト 斬新なスタイル 予想外に良好なハンドリング 乗り心地はやや過敏

公開 : 2023.10.21 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

408は大部分がゆったりしていて控えめだ。ほとんどの道を楽に走れて、高い速度域でも群を抜いた落ち着きぶりで、キャビンは快適に時を過ごせる。このクラスのクルマとしては、静粛性も上々だ。113km/h巡航で69dBAというのは、最近テストしたメルセデスGLC300と同等。シトロエンC5Xピュアテック180も同じ数値だったが、エンジン車でイコールならシトロエンのほうが多少静かにできている、といえるだろう。

明らかに、408におけるプジョーの空力関連の仕事は功を奏していて、ダウンサイジングユニットのガソリンエンジンは主張が控えめ。高負荷時にも、ノイズがよく抑えられている。EVモードでは、期待通り静かだ。

静粛性は高いのだが、路面からの波長が短い入力を吸収しきれないので、乗り心地が損なわれている。
静粛性は高いのだが、路面からの波長が短い入力を吸収しきれないので、乗り心地が損なわれている。    JACK HARRISON

欠点を挙げるなら、セカンダリーライドだ。サスペンションが、粗い路面や轍、スピードバンプなどからの入力を吸収しきれないのだ。そういう状況ではとにかく過敏で、タイヤサイズを下げたいところだが、20インチタイヤばかりが悪いとはいえないかもしれない。扁平率45%と、いまどきでは厚めのサイドウォールを持つのだから。

驚くほど優れたハンドリングを実現するために、乗り心地を多少妥協したことには賛否両論あるだろう。しかし、このバランスが故意に作られたものだとしても、それが申し分なくうまくいっているとは言い難い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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