フォード・マスタングV8 GT

公開 : 2014.01.30 16:55  更新 : 2017.05.29 18:54

スタンダード状態のマスタングと較べて、ハードウェア上の違いようは激しくない。ちょっとアシが硬くて、タイヤが太くて、あと日本仕様ということではこれにだけM/Tがあって(今回のパフォーマンスパッケージはM/T25台+A/T15台)、そのM/Tのファイナル減速比がちょっと低い。加速重視タイプ。本国だと高中低あるうちの、おそらく真ん中。今回乗ったのはそのM/Tのほう。
 乗った感じは、ゴツくて精度の高い、安い演出が入ってない機械にナマで触れている感じ。ひとことでいうと、「ありがたーい」。トバさなくても。ちょっとだけしか運転しなくても。何年もずーっともってても、乗るたびそういう気持ちにきっとなる。ということは、飽きない。ありがたみが減らない。きわめて減りにくい。減りにくそう。クルマに接する態度がダレない。ナアナアにならない。借りて乗って同じような印象をもったクルマとしては、たとえば911GT2(「オートマ限定を解除するための教習車としても好適」と書きたくなるところも共通している)。そういうクルマとしては、540万円はエラく安い。破格に安い。

“ゴツくて精度の高い……機械にナマで”のモトは、ひとつには、というか第一にパワートレイン。ちょっと踏むとワッと出る系の手心が一切くわえられていないと感じられるのはやはりM/Tだからか。運転しにくくはないけれど、ヘタクソなことをすると正直にそれなりの結果が返ってくる。駆動系がカクッとシャクったり。
 エンジンの低速トルクはごっそりある。でも、低速メインのドロンとタイプではない。といって、シャンシャンとカルく上まで回るタイプでもない。というか、軽々しく回しちゃってオッケーな気分にならない。回せば回る。高い精度感をともなって、ハンパなくパワーが出る。要は、巨人にちょっかいを出すみたいな態度では踏みたくない。ちょっと踏めない。そういう感じ。6速100km/hのときのエンジン回転数は2000rpmちょっと。そんなに回さなくても全然大丈夫なレシオ設定。

乗り心地は、2012年モデルのパフォーマンスパッケージよりもさらに硬い。たぶん。でも、こちらのほうが……というか、このアシはバッチリ快適。上屋が揺すられる動きが出ていない。バネ系全体としてのハーモナイズがさらに上手くとれている模様。あと、キツい入力に対してボディがツラそうになる感じもない。

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