EVバンが大幅強化 ステランティス 商用車ラインナップを一新 航続距離延長、安全装備も追加

公開 : 2023.10.25 06:25

・シトロエン、フィアット、オペル/ヴォグゾール、プジョーが商用車を一新。
・小型バンから大型バンまで、EVパワートレインを強化。航続距離、充電速度が向上。
・ブランドごとに個性的なデザインを採用。米フォードに対抗する狙い。

5ブランドで商用EVを大幅改良

欧米系の自動車メーカーであるステランティスは、商用車ラインナップに改良を加えた新ラインナップを発表した。2027年までに小型商用車市場でフォードを抜いて世界首位に躍り出る狙いだ。

主な変更点としては、EVの性能を大幅に向上させ、小型バンと大型バンの両セグメントでトップクラスの航続距離を実現したという。

シトロエン、フィアット、オペル/ヴォグゾール、プジョーで商用車が一新された。
シトロエンフィアットオペル/ヴォグゾールプジョーで商用車が一新された。    ステランティス

小型EVバン(シトロエンeベルランゴ、フィアットEドブロ、オペル/ヴォグゾール・コンボ・エレクトリック、プジョeパートナーとして販売)は、1回の充電での航続距離が最長330kmとなり、従来よりも約50km伸びた。

中型EVバン(シトロエンeディスパッチ、フィアットEスクード、オペル/ヴォグゾール・ヴィヴァーロ・エレクトリック、プジョーeエキスパート)は75kWhバッテリーを搭載し、航続距離は45km伸びて360kmとなった。

大型EVバン(シトロエンeリレー、フィアットEデュカト、オペル/ヴォグゾール・モバノ・エレクトリック、プジョーeボクサー)には、大容量の110kWhバッテリーを搭載し、航続距離は420kmとなった。充電速度も従来の50kWから最大150kWに大きく向上した。

室内では、10インチの大型インフォテインメント・ディスプレイが採用されたほか、レベル2の運転支援システムや360度カメラなど、安全装備も一新された。

また、オンラインの車両管理システムにワイヤレスで接続でき、ドライバーとオペレーター間の円滑なコミュニケーションが可能になるという。

こうした一連のアップグレードを受けつつも、積載能力などバンとしての能力に「妥協はない」とされる。

内外装のデザインも刷新され、各ブランドのデザイン・アイデンティティがより反映されるようになった。

シトロエンは新しい楕円形のブランドロゴが取り付けられ、中型のディスパッチには新型e-C3と同様のLEDヘッドライトが採用されている。室内では、シトロエン独自のコンフォート・シートが装備される。

一方、フィアットは大きな「FIAT」のワードマークを採用。フロントグリルには、1968年から2003年にかけて乗用車に採用されていた4本線のデザインがあしらわれている。

プジョーは、特徴的なライオンヘッドのフロントエンドを採用。室内では、乗用車と同様のiコックピットデザインが採用され、小さなステアリングホイールの上からインストゥルメントパネルを見る形となっている。

オペル/ヴォグゾールは、ブラックパネルでフロントを覆う「ヴァイザー」グリルが採用され、「コンパス」と呼ばれるLEDヘッドライトと組み合わせている。ヘッドライトはマトリクスLEDに変更可能で、対向車の眩惑を避けるために自動的に照射範囲を調整する。

ステランティスはまた、水素燃料電池車への取り組みの強化を発表した。すでに中型バンで燃料電池パワートレインを導入しているが、大型バンにも追加する。航続距離は500kmで、5分で水素を補給できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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