価格を納得させる強みはある プジョーE-308 アリュールへ試乗 ステーションワゴンも準備中

公開 : 2023.11.01 19:05

非常に洗練された電動パワートレイン

ステアリングホイールを握り発進させてみると、電動パワートレインは非常に洗練されているのがわかる。ライバルより高めの価格だからといって、パワフルなわけではないものの、滑らかで静か。気持ち良くスピードを高めていく。

E-C4と同じく、駆動用モーターの全力を引き出すには、ドライブモードをスポーツにする必要がある。そうすれば、流れの速い郊外の道や高速道路で、不満ない加速を披露する。充分といったレベルで、興奮を誘うほどではないが。

プジョーE-308 115KW アリュール(英国仕様)
プジョーE-308 115KW アリュール(英国仕様)

回生ブレーキは、強さをドライバーが選ぶことはできない。エネルギー効率は優れているようだが、このクラスとしては駆動用バッテリーの容量が小さいため、効き具合を調整できた方が訴求力は増すだろう。

今回は、積極的にカーブが連続する区間を走らせた時間も含めて、平均で7.0km/kWhを得られた。現実的な航続距離は、360kmほどになる計算。メガーヌ Eテック・エレクトリックより、長い距離を走れるかもしれない。

乗り心地や操縦性も褒められる。英国仕様のE-308には、空気抵抗を意識した18インチ・アルミホイールと、転がり抵抗の少ない肉薄なタイヤが標準装備されるが、優れた姿勢制御とグリップ力、乗り心地をバランス良く叶えている。

ステアリングホイールの感触は、車重が増えたことで重みも適度に増した。内燃エンジンの308以上に、直感的に操れるようになった印象だ。

ステーションワゴンのE-308 SWも準備中

ライバルより割高なことは確かだが、乗り心地や操縦性、スタイリング、インテリア、インフォテインメント・システムなど、それを納得させる強みは少なくない。とはいえ、実用性や動力性能、航続距離などには、もう少しを期待してしまうのも本音。

実際のところ、テスラモデル3も視野に入ってくる価格帯にある。よりお手頃で、航続距離が長い同クラスのモデルも存在する。選択肢の上位へ入るには、更なる訴求力が必要かもしれない。

プジョーE-308 115KW アリュール(英国仕様)
プジョーE-308 115KW アリュール(英国仕様)

ちなみに、プジョーはステーションワゴンの308 SWにも、バッテリーEV版を用意する準備を進めている。価格次第では、より望ましいチョイスになりそうだ。

プジョーE-308 115KW アリュール(英国仕様)のスペック

英国価格:4万50ポンド(約725万円)
全長:4367mm
全幅:1852mm
全高:1441mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:9.8秒
航続距離:379-429km
電費:5.6-6.6km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1684kg
パワートレイン:ハイブリッド同期モーター
駆動用バッテリー:54.0kWh(実容量)
急速充電能力:−kW(DC)
最高出力:156ps
最大トルク:27.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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