なぜ? 東京モーターショー、55年ぶりの改名 「ジャパン・モビリティショー」になったワケ

公開 : 2023.10.25 08:50  更新 : 2023.10.25 11:37

「モビリティ」という名前に違和感?

気になっている人も多いと思うが今回から慣れ親しんだ東京モーターショーからジャパン・モビリティショーという名称に変わっており、これに対してかなり違和感を持つ人もいるようだ。

実際、55年にわたって使用されていた東京モーターショーの名称が消えたことも非常に寂しい。「モビリティショー」という名称じたい、なんだか別のショウになったようで残念だ。

少なくとも筆者の周囲にいる昭和~平成初期のクルマ好きにとっては激しい違和感を覚えるようだ。

ジャパン・モビリティショーという名前について、クルマ好きが集まるコミュニティで聞いてみたところ、

・政府の方針だろうから、仕方ない
・モビリティという言葉がそもそも嫌いなので違和感しかない
・なぜ改名する必要があるのか
・日本経済、日本自動車産業の凋落の象徴
・無理やり元気にふるまおうとしている感じが嫌
・運転が危ない「電動キックボード」を想起させる

などなど、少々過激なものもあるがこのような意見が渦巻いていた。

なぜ東京モーターショーからジャパン・モビリティショーに変わったのか? これが正式発表されたのは約1年前の2022年11月のことであった。

この時の発表では、「モビリティの枠を超えて他産業やスタートアップなど新しい仲間も募り、次回の東京モーターショーを新たに『JAPAN MOBILITY SHOW 2023 (ジャパン・モビリティショー)』として、東京ビッグサイト全館(江東区・有明)を中心に開催することを決定しました」

「今回も、臨海副都心エリアや東京ビッグサイト近隣のエリアでの拡充開催も検討しており、様々なプログラムを実施し、100万人の来場者のみなさまがより一層楽しめるイベントを目指します」として、名称変更と共に開催概要も明らかにされた。

イメージ一新とオールインダストリー意識

主催団体である日本自動車工業会では「みんなで一緒に未来を考える場」をショーのコンセプトとしている。

モビリティ産業がペースメーカーとなり、他産業やスタートアップも一緒になって、お客様との双方向で未来を考える場を目指しているそうだ。

そして、各方面への取材を通して見えてきた改名の理由は以下のようなことではないかと筆者は推測している。

・若者層、ファミリー層の関心をひくために新しいイメージを持つ名前に変えてイメージ一新。

・年々、海外メーカーを中心に出展社が減り、それに伴い来場者も減っている昨今。若者やファミリー層に足を運んでもらうべく、古臭い? 東京モーターショーから新しいイメージを与えるジャパン・モビリティショーに改名した。

・日本経済の発展に向けて、基幹産業である自動車産業は中心に多様な産業との連携をイメージ。

・業界を超えて日本の未来へ貢献を象徴するイベントとして「クルマだけじゃない」感をアピールする。モビリティ産業を核としてオールインダストリーで日本を元気にしていこうという願いが込められている。

・2050年のカーボンニュートラルに向かって、これまでの「自動車」だけではなく、電動車、電動モビリティ、それらの関連分野を包括する多様な展示内容とする

ところで、実はモーターショーやオートショーが入る名称を「モビリティ」に改名したショーは他にもある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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