メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス発売 2LターボPHEVでトータル680ps

公開 : 2023.10.26 11:45  更新 : 2023.11.02 00:46

4気筒のPHEV AMG気になる性能は?

パワートレイン

C 63 S Eの駆動システムは、2Lの4気筒ターボエンジンに交流同期モーターとAMG自社開発の高性能バッテリー(6.1kWh)それにAMG のパフォーマンス志向連続トルク可変配分四輪駆動システムの4マティック+を組み合わせたもので、トータルシステム出力680psを発揮し、最大システムトルク104.01kg-mを発生させ、0-100km/h加速は3.4秒という。

定格出力80kW/ピーク出力150kW(最大10秒間)の交流同期モーターはリアアクスルに搭載されており、電動シフト式2速トランスミッションおよび電子制御式リミテッド・スリップ・デフとともにコンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)にまとめられて、P3ハイブリッド(変速機内あるいは変速機よりも下流に電気モーターを置く)と呼ばれるレイアウトだ。軽量の高性能バッテリーはリアアクスル上方に搭載され、このコンパクトな設計レイアウトには以下のメリットがあると語る。

メルセデスAMG C 63 S  Eパフォーマンス
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス

・電気モーターがリアアクスルを直接駆動するため、動力をよりダイレクトにトラクションに変換でき、発進時や加速時、追い越し時などに追加的な加速力(ブースト)を得ることができる。
・電気モーターのパワーはその性質上、最大トルクが瞬時に立ち上がるため、きわめて俊敏な発進/加速が可能となる。
・電子制御式リミテッド・スリップ・デフが一体化されているので、後輪左右への駆動力が適正配分されることから、例えばコーナー出口での再加速時のアジリティがさらに向上したほか、トラクションが確実に確保されるので高い走行安全性も実現した。
・リアアクスルのスリップ量が増えると、4輪のトラクションバランスを高めるため、電気モーターの駆動力が必要に応じてフロントホイールにも伝達される。この作動は、トルク連続可変配分式四輪駆システムがプロペラシャフトとフロントホイールのドライブシャフトを介して機械的に行う。
・EDUをリアアクスルに直接取り付けることで、車両の前後重量配分とアクスル荷重配分が改善されて、ハンドリング性能の向上に寄与する。
・回生ブレーキによる熱エネルギーの回収は、エンジンおよびトランスミッションによる機械損失/油圧損失をシステムとして最小限に抑える AMG のコンセプトにより、きわめて高い効率を実現する。
・リアアクスルの自動変速式2速トランスミッションは、俊敏な発進から高速走行時の安定的な連続出力に至るまで、広い範囲をカバーし、2速への切り替えは、電気モーターの最高回転数である1万3500rpmに相当する車速、約140km/hに達するまでの間に、電動アクチュエーターによって行われる。

AMG高性能バッテリー

AMGハイパフォーマンスバッテリー(HPB)の開発は、メルセデスAMGペトロナスF1チームが使用している、F1ハイブリッドレーシングマシンのきわめて苛酷な条件下で実証済みの先進テクノロジーを元に進められた。AMG高性能バッテリーは、高出力を頻繁に繰り返し発生できる能力と軽量構造とを兼ね備えることで、クルマの総合的なパフォーマンスを高める。さらに、充電速度が速いことと出力密度が高いことも特長で、アップダウンのあるワインディングを高速走行する場面などでは、上りでただちに100%のパワーを引き出すことができる一方、下りでは強力な回生ブレーキが実現可能だ。

C 63 S Eに搭載されるハイパフォーマンスバッテリー容量は6.1kWhで、定格出力80kW/最高出力150kW(10 秒間)を発揮する。このバッテリーは、航続距離を最大化することより、速やかな放電と充電を行えることを重点に設計されたものだが、EV走行可能距離も15kmと実用的なレベルを確保しており、例えば深夜や早朝の住宅地などでは静かに排出ガスを出さずに走行することが可能で、充電は交流充電による3.7 kWに対応している。

このAMG400Vバッテリーが高性能を実現する土台となっているのが、革新的な直接冷却方式であり、非導電性の液体をベースとする高度な冷却液を循環させて560個のセルすべてを個別に直接冷却する方式を初めて採用し、常に最適な作動温度に保たれるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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