フォード・マスタングV8 GTクーペ・プレミアム
公開 : 2014.01.30 17:34 更新 : 2017.05.29 18:54
このコースにはクローズ状態がマッチング良好。1台で2台ぶん美味しいマスタング。スタート前にゼロリセットしたGメーター(アクセレロメーター=加速度計)によると、横GのピークはLEFT(十時線のうちの横線の向かって右側にそうあるのはつまり左カーブということ?)が1.14でRIGHTが1.10。純粋な横G以外の成分もカウントされちゃっての過大表示ではあろうけど、控えめにいってもコンマ8Gぐらいは出ていたはず。あと、BRAKEのGのピークは0.87。
コンバチから乗り換えて走りだした直後は、なにげでさりげな吸収をしてくれる車体サスペンションがないことにちょっとオッと。オトコっぽいぞコイツ。でも、アシじたいの性格はフツーにロードカー。トラック仕様感やシャコタン感はゼロ。よく縮み、よく伸びる。で、こちらもやはり、接地性、たか!!
いわゆるFR車の、というか後輪駆動車の醍醐味。コーナリングの後半でスロットルをワイドオープンにしてもクルマの向き変え方向の動き(ヨーイング)がフッと消えてしまわないで、踏んで曲がっていける……こと。それが、このマスタングにはものすごくある。あと、トラクションがこれまたイイ。左ヘアピン立ち上がりでヌオオオッとアクセルペダルを踏みながらハンドル戻しながら上り坂……から続いて、直線区間なしに左カーブ。さらに踏みっぱ。車両姿勢は明確にハナ上がり。ケツをグッと沈めながら後輪で蹴る。リヤタイヤ、悲鳴。でもクルマは前へ。前へ。ハンドル手応え、スーッとカルくなる。それでも曲がる。曲がる。舵角、そのまんまでオッケー。うおー!! これだよ。これ。
130km/hぐらいは出てたのではないかと思われる、下りの直線のエンド付近。シケインに向けてのフル制動のタイミングを次の周ではもうちょっと……なんてこともやっていた(少なくとも考えてはいた)。要はそれくらい、クルマを信用できた。完全カットオフするのを忘れた(いったんストップしないとそのモードを選べない)アドバンストラックは介入遅らせモード。シケインいっこめ手前でワザとヨー残しブレーキをやったとき(の二個め手前の振り返し)のみさりげに介入。加速度計によると、GのピークはLEFTが1.09でRIGHTが1.16。あとBRAKEが0.91。
なおマスタング、2013年モデルは変速レバーの±スイッチでマニュアル変速も可。ヘアピン立ち上がりでワイドオープンにした際の3→2のダウンシフトがDレンジだと少し遅れるので、そんなときには。
エンジンは十分パワフル。少しだけ細いタイヤと少しかもっと軽い車重との間に挟まれて、バネというかアシの相対的な印象はV8モデルよりカタい。グーッと縮みながらタイヤをギューッと……の感じが希薄。あと、ハナ先がカルい感じもあり(前軸重量はV8クーペ比マイナス50kg)。クルマの挙動をアバれさせるにはむしろこちらのほうが都合がいいのではないか、とはいえる一方で、アジ的にはウスい。いや、サラッと軽快に速いマスタング。
(文・森 慶太 写真・花村英典)