三菱アウトランダーPHEV

公開 : 2014.01.30 17:46  更新 : 2017.05.29 19:26

今回のプロトタイプ(といってもすでに量産試作)による試乗では、エンジン介入しやすいようにバッテリー残量をあえて少なめにした状態でスタートした。だから、当然のように途中でエンジンが始動するのだが、プリウスなどのようにスロットル操作とエンジン始動はほとんどリンクしない。普通のハイブリでもエンジン始動タイミングがある程度は予期できるものだが、今回の郊外市街地を模したコースでのアウトランダーPHEVは、まったくエンジンが勝手に始動・停止を繰り返す感じ。……というか、充電に特化したアウトランダーPHEVの2.0ℓ4気筒は、普通のハイブリよりエンジン回転もかなり低く抑制されるために、エンジンの存在感も確実に薄い。なるほど、これはわれわれが持っているイメージとしては、ハイブリというより電気自動車っぽさのほうが強い。

開発陣によると、リヤにもモーター(とそのコントロールユニット)を持ち、床下にバッテリーを敷くアウトランダーPHEVは、普通のアウトランダーより低重心(-45mm)で前後重量配分にも優れる(55対45)という。前後トルク配分とブレーキを使った左右トルク配分を組み合わせたS-AWCも残されており、“らしからぬ操縦性”もアウトランダーPHEVの自慢だそうだ。ただ、今回のコースでは、なるほどEVらしいドシッと安定した重厚感は感じられたものの、それ以上にノーマルとの重量差(PHEVが300kg弱も重い)のほうが印象に強い。このあたりは、もっと高い速度と過酷なコース(下りのワインディングがアウトランダーPHEVのもっとも得意なシーンだろうか?)に持ち込まないとわからない。

さて、今回の試乗イベントではこのほかに、先日発売されたばかりのデリカD:5のクリーンディーゼルにも乗ることができた。ベースとなるエンジンは2.2ℓコモンレールターボで、すでにRVR(欧州名ASC)やアウトランダーで欧州市場に投入されているものだ。マツダのスカイアクティブと同様の低圧縮比が大きな特徴だが、NOx触媒を省略するまでには至っていない(ただし、パジェロよりは排気後処理システムは簡素)。三菱のディーゼルは、最新型といってもガラガラというディーゼルらしさはよくも悪くも濃厚。ハッキリいって、最新ディーゼル基準でいえばかなり騒々しい。ただ、デリカという日本専用車にわざわざディーゼルを再登載した意気込みは嬉しい。もともと牧歌的クロカン車のような味わいのデリカにはマッチしており、トータルとしての商品力は高い。

というわけで、三菱は小規模ラインナップにもかかわらず、ピュアEV、クリーンディーゼル、プラグイン・ハイブリッド……という当世話題の3種のシステムがいつの間にか揃ってしまった(笑)。

(文・佐野弘宗 写真・田中秀宣)

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