ダイハツ・ムーヴ・カスタムRS
公開 : 2014.01.30 17:50 更新 : 2017.05.29 18:45
ホンダの本格参入によって、軽自動車の勢力図は風雲急を告げている。2011年末デビューのホンダN BOXは、昨年4月以降はほぼ不動のトップ銘柄である。いっぽう、2012年の年間販売ではひさびさにワゴンRがトップから陥落しただけでなく、かわりにトップに立ったのはなんと非ハイト系……のミラシリーズ(実質的にはミラ・イース)だった。
しかも、これら一連の出来事は、王者ワゴンRがスキを突かれたから……ではない。ワゴンRは当初計画を前倒して昨秋にフルチェンジしたが、ワゴンRのトップ返り咲きは発売初月の9月だけ。10月は早くもN BOXに抜き返されて2位に陥落、続く11~12月はミラ(イース)の後塵も拝して3位に落ちた。つまり、ワゴンRはフルチェンジ3カ月目にして、以前の定位置に戻ってしまったのだ。2013年1月期の販売ランキングではさらにN ONEが間違いなく首位争いに加わるから、軽の地殻変動はまだ続く。
というわけで、ムーヴである。今回は発売2年目の定例マイナーチェンジだが、変更内容はかなり大幅。しかも、発表前から異例のティザーキャンペーンを行う力の入れよう。これらは当然ながらN ONEと新型ワゴンRを意識してのことだが、こうして間髪おかずに迎撃態勢を整えられるのだから、軽メーカー間の情報がいかに筒抜けなのかがわかる。
いずれにしても「フルチェンジなみに力を入れた」という開発陣の意気込みはウソではない。昨今はモノフォルムが流行らなくなったのか、外観は明確なボンネット形状に変更。ダッシュボードは全とっかえで、シートもミラ・イースと骨格共用化した新設計。
中身も考えられるものはすべて手が入っている。減速時9km/hから止まる(NAのみ)アイドルストップなどミラ・イース由来の技術はほぼフル投入されたほか、ノーズ部分のデザイン変更&車高ダウンで空力改善、さらにミラ・イースにもないエンジン冷却水を(温まりにくい)CVTフルードを積極的に温める“CVTサーモコントローラー”は軽初という。これらよって、新しいムーヴ(の自然吸気FF車)のカタログ燃費は軽ハイトワゴンでトップの29.0km/ℓ。これはワゴンRより0.2km/ℓ上回る(笑)。